ゴルフオタク > ゴルフ用品 > 【日本ゴルフ界初のメダリスト】オリンピック稲見萌寧のセッティング、注目プレーをティーチングプロが解説!

【日本ゴルフ界初のメダリスト】オリンピック稲見萌寧のセッティング、注目プレーをティーチングプロが解説!

東京2020オリンピックの女子ゴルフは稲見萌寧がプレーオフを制して銀メダルを獲得しました。オリンピックでのメダル獲得は日本ゴルフ界初の快挙です。今回は稲見萌寧のオリンピックでのクラブセッティングや4日間のプレー、スイングの特徴などを振り返っていきます。

※本ページは、アフィリエイトプログラムを利用しています。

女子ゴルフ界次世代のヒロイン稲見萌寧。東京2020オリンピックでプレーオフを制して銀メダルを獲得しました。オリンピックのゴルフ競技でのメダル獲得は男女通じて初の快挙です。稲見萌寧プロはどんな人物なのでしょう?今回はオリンピックで銀メダルをとった稲見萌寧プロのクラブセッティングや注目プレーなどを振り返りたいと思います。

日本ゴルフ界初のメダリスト稲見萌寧プロってどんな人?

https://www.newbalance-golf.com/news/

稲見萌寧プロは1999年7月29日生まれの22歳。萌寧(もね)という名前は、お母さんが「有名になったときに世界中で覚えやすいように」と考えて名付けたそうで、印象派の巨匠、クロード・モネとは無関係です。通信制の日本ウェルネス高校を経て、日本ウェルネススポーツ大学に在学中です。ゴルフを始めたのは9歳の時で、練習場に連れていった時に1回も空振りをしなかったそうです。1日10時間の練習で腕を磨いてプロ転向したのは2018年。初優勝は2019年のセンチュリー21レディースゴルフトーナメント。オリンピックのある2021年は5勝しており、今最も勢いのある女子プロといえるでしょう。

国内女子ツアー屈指の練習の虫としても知られる稲見萌寧プロですが、プライベートではスキンケアにハマるなど、今どきの若者らしい一面も。オリンピックでは五輪仕様のネイルを施して注目を集めていました。

稲見萌寧オリンピックでのクラブセッティング

稲見萌寧プロはクラブ契約がフリーなので、好きなクラブを使うことができます。
オリンピックではどのようなクラブセッティングだったのか見ていきましょう。

ドライバー キャロウェイ マーベリックサブゼロドライバー10.5°
フェアウェイウッド ダンロップ スリクソン ZXフェアウェイウッド15°、18°
ユーティリティ ダンロップ スリクソン ZXハイブリッド19°、22°
アイアン テーラーメイド P770アイアン(5I~PW)
ウェッジ タイトリスト ボーケイSM8 52°、58°
パター テーラーメイド トラス TB1 トラスヒールパター
ボール ブリヂストン ツアーB XSボール


※掲載のモデルはすべてがプロが使用するモデルと完全に同じものではありません。ご購入の際はよくご確認をお願いします。

ITEM
キャロウェイゴルフ MAVRIK マーベリック サブゼロ ドライバー

ドライバーは優しさ重視のキャロウェイ マーベリック サブゼロドライバーを使用しており、このドライバーで安定したフェードを打っています。以前はキャロウェイのエピックフラッシュを使用していましたが最新モデルの方がミスにも強くイメージが出るのでしょう。
【関連記事】


ITEM
ダンロップ SRIXON スリクソン ZX フェアウェイウッド

フェアウェイウッドはダンロップのスリクソン ZXフェアウェイウッドを使用しています。参考までに3Wで225ヤード、5Wで205ヤードの距離を打つそうです。
ITEM
スリクソン ZX ハイブリッド N.S.PRO 950GH DST シャフト 2020年モデル

ユーティリティはオリンピック直前の「楽天スーパーレディース」まで使用していたブリヂストン ツアーB JGR HYに代わって、ダンロップ スリクソンZXハイブリッドを入れています。フェアウェイウッドと同じシリーズで飛距離と方向性を向上させたモデルです。

ITEM
TaylorMade(テーラーメイド)日本正規品 P770アイアン 2020モデル NSPRO MODUS3 TOUR105スチールシャフト 6本セット(I#5~9、PW)

アイアンは「顔、打感、スピン量がイメージ通りでないと変えない」という稲見プロ。2020年7月の試合で4年ぶりにテーラーメイドからブリヂストンに変えていましたが、オリンピックでは以前から使用しているテーラーメイドで出場していました。テーラーメイドの方が顔が小さく、今まで慣れ親しんでいたモデルで戦ったようです。

ITEM
【2020年モデル】【タイトリスト】 【ツアークローム】 VOKEY DESIGN SM8 WEDGES ボーケイ デザイン ウェッジ N.S.PRO MODUS3 TOUR 105/S スチールシャフト

ウェッジはスピンよりボールの飛び方にこだわりがあるとのこと。ポンと上に上がってくれるものが稲見萌寧プロの好みだそうです。ボーケイSM8はツアーでも人気のウェッジで、オーソドックスな感じです。
【関連記事】

ITEM
TaylorMade Truss ヒールパター

パターはトラス TB1 トラスヒールパターを使用しており、このパターはツアーでも人気沸騰中です。ダスティン・ジョンソンもこのパターを使って優勝しており、特徴はネック部分にあります。ネックにトラスホーゼルネックを使用していて、ミスヒットに強くなっています。このパターでバーディを量産しているのが印象的です。

ITEM
ブリヂストンゴルフ TOUR B XS ゴルフボール 2020年モデル 1ダース USA直輸入品【BRIDGESTONE GOLF】【スピン&コントロール】

タイガー・ウッズのマスターズ復活優勝を支え、世界屈指の飛ばし屋ブライソン・デシャンボーも絶賛しているブリヂストンのTOUR B。稲見萌寧プロは風に強い弾道や高速グリーンでもピンを狙えるスピン性能が気に入っているそうで、ツアー通算勝利数を伸ばし、オリンピックでの活躍にも貢献しました。
【関連記事】

稲見萌寧オリンピックでの注目プレーを振り返る

 

この投稿をInstagramで見る

 

Olympic Golf(@olympicgolfofficial)がシェアした投稿


稲見萌寧プロにとって小さい頃からの夢だったというオリンピック。競技前の記者会見では「楽しんで自分の持っているものを最大限に引き出し、上位にいけたら一番いい」と語っていました。今回はまさにそれを体現した大会となりましたね。それではオリンピックでの注目のプレーを振り返りましょう。

初日

メダル獲得に重要なのが初日。初日に出遅れると上位に入るのは困難です。特に今回のようにバーディー合戦になるような展開だとなおさら。しかも選手の中で一番初めにティーショットを打ったのが稲見萌寧です。普通であれば全世界が注目する中のオープニングショットは緊張すると思いますが、見事フェアウェイに運びます。インタビューでは「自分のショットで大会が始まるなんて嬉しい。全然緊張しなかった」と語っています。
1番をパーで終えると2番では3.5mのパットを決めバーディ。いい感じのスタートでこのままスコアを伸ばすかと思っていたら、3番4番と連続ボギー。パットが良く入る稲見萌寧にしては珍しく3パットや微妙なパーパットを外します。その後耐えるゴルフを続けると、14番18番でバーディ。トータル1アンダーで初日を終わらせます。この時点で16位タイなのでまずまずのスタートでした。

2日目

猛チャージがかかったのが2日目。2番の7mの長いパットをジャストタッチで決めてバーディをとると5番でもバーディ。圧巻は次の6番。ティーショットをグリーン横まで運び、そこからチップインイーグル。8番でももう少しでチップインイーグルになるかというアプローチをして楽々バーディ。9番でパーを取って前半を終わって31。この時点で6アンダーで首位に3打差と迫ります。後半に入ってもバーディ先行です。12番で3mのパットを入れてバーディ。14番でバンカーに入れてボギーとするものの18番でバーディを取ってこの日65の大爆発!見ていていて強い時の稲見萌寧のパターンにハマっています。ドライバーを曲げずにグリーンに乗せ安定したパットでバーディ量産。この時点でメダルが見えてきました。

3日目

後半戦の3日目。1日の流れを決めるティーショットは右のラフへ。そこからグリーン手前に運んでアプローチを寄せてパー発進です。3番で長いパットを入れると5番6番と連続でバーディ。6番に至ってはワンオンに成功してイーグル逃がしの楽々バーディです。この日もパターの調子は良いみたいです。この時点で2位に浮上。

9番でボギーを打って前半2アンダーで折り返します。ボギーを打った次の10番ショートホールでは、ピンそばにつけてバーディ。すぐに取り返してガッツポーズも出ていました。11番12番をパーとして13番フェアウェイから打ったボールはピンから4m程にナイスオン。この距離を入れてバーディ。その後17番まで安定のゴルフを続けてパーを重ねます。18番のティーショットはフェアウェイだったもののセカンドショットはグリーン奥にこぼします。難しいアプローチを2m程に寄せましたが惜しくも入らずボギー。
3日目は68のスコアでトータル10アンダー。3位タイで最終日へ突入します。

最終日

メダルの決まる最終日。稲見萌寧は3位タイ。3位タイには4人いてトップとは5打差、2位とは2打差です。1番ティーショットはトップの位置を確認するいつも通りのルーティンからナイスショットをしてフェアウェイをキープ。そこから5mにつけてバーディ発進です。

2番もパーオンとするものの3パットをしてボギー。しかしボギーを打ってもすぐに取り返します。3番では5mのバーディパットを決めてバーディ。このくらいの距離が良く入るのは調子のよい証拠です。4番をパーとして5番でまたバーディ。6番ボギーとして5位に後退します。

その後8番パー5でピン横1.5mからバーディを取りスコアを伸ばします。9番をパーとして前半2アンダー。この時点で単独の5位。メダルを取るためにはスコアを伸ばさないといけません。

10番11番をパーとして12番では4mの距離を沈めてバーディ。この時点で13アンダーの2位タイに浮上します。13番ではピン横2mにつけてバーディ。14番パー5では2オンに成功してバーディ。15番でもバーディを奪うとトップと1打差まで迫ります。

16番をパーとして17番では5mを入れてバーディ。この時点でトップに並びます。18番のティーショットはフェアウェイに行きますが、セカンドショットはグリーン手前のバンカーへ。バンカーを寄せきれずにボギーとして2位タイでフィニッシュ。

銀メダルを賭けたリディア・コーとのプレーオフでは、稲見萌寧が18番をパーとしたのに対してリディア・コーがボギーとして稲見萌寧プロの銀メダルが確定しました。国内女子ツアーでプレーオフは3戦全勝と、プレーオフに強いプロ。オリンピックという大舞台であってもその力をいかんなく発揮しました。

稲見萌寧のスイングの特徴

 

この投稿をInstagramで見る

 

稲見萌寧(@mone173.golf)がシェアした投稿


アドレスは背筋が伸びて膝が突っ張らない程度に軽く曲がった自然体で、重心も前後左右バランスが良く、この時点で素直なスイングになりそうな雰囲気があります。
テークバックでは肩と腕が一体となりオンプレーンに上がっています。トップに行く直前にほんの少し沈むようにして切り返すことで、前傾をキープしたままインパクトしています。注目したいのが安定した下半身。バックスイングでは右足の内側で体重を受け止めてダウンスイングで粘るようにその場で振っています。体重移動を抑えてべた足に近いスイングが安定したショットを打つコツです。腕と体が一体になっているので、スイングアークも大きく飛距離と方向性の両方を備えた教科書通りのお手本のようなスイングです。

アマチュアが参考にしたい稲見萌寧のプレースタイル

https://mb-live.jp/sports/

稲見萌寧のプレースタイルは王道中の王道です。これはスタッツを見ても分かります。
飛距離こそ238ヤードで39位となっていますが、フェアウェイキープ率は75%程で12位、パーオン率も75%程で2位。平均パット率は1.77で3位、グリーンを外した時のパーセーブ率も90%の1位となっていて隙がありません。ティーショットをフェアウェイに置き、パーオンさせてパターで勝負するような王道のゴルフです。

アマチュアに見習ってもらいたいのが攻め方。無理にピンを狙わずに確実にグリーンに乗せられる場所に打っています。ピンを直接狙うと、グリーンを外した時に難しいアプローチが残るものですが、それではパーセーブをすることが難しくなります。稲見萌寧は外したことも考えて安全な方に打っていると思います。パターの調子が良ければ安全に乗せた場所からバーディを取りますし、そうでなくても楽にパーを取れるようなゴルフをしており安心して見ていられます。

まとめ

今回は稲見萌寧のオリンピックでのクラブセッティングやプレーなどを見てきました。稲見萌寧の強さの秘訣は誰にも負けないくらいの練習量にあります。小さい時から誰よりも球を打ち、プロになってからもそれは変わりません。そのような努力があったからこその銀メダルだったのかと思います。

稲見萌寧のスイングはアマチュアに参考にしてもらいたい要素が沢山あります。誰のスイングを参考にすればよいか分からずに悩んでいる人は、稲見萌寧の真似をすると良いかもしれません。

東京2020オリンピックで日本中を感動させてくれた稲見萌寧プロ。本当にありがとうございました。

【関連記事】

関連記事

この記事が気に入ったら
「いいね!」をしよう
鈴木
鈴木

PGA(日本ゴルフ協会)ティーチングプロ。ゴルフ歴は30数年。小さいころからPGAティーチングプロである父の指導の元ゴルフの練習に励む。高校を卒業したのち神奈川県にあるゴルフ場の研修生として働く。25歳でPGA(日本ゴルフ協会)会員となりレッスン活動に励む。現在は某ゴルフスクールでレッスンしている。誰にでも分かりやすく楽しいレッスンを心がけています。

ゴルフオタク > ゴルフ用品 > 【日本ゴルフ界初のメダリスト】オリンピック稲見萌寧のセッティング、注目プレーをティーチングプロが解説!