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マスターズ2021松山英樹のクラブセッティング、4日間のプレーをティーチングプロが解説!

2021年マスターズで日本人初優勝した松山英樹。日本ならず世界からも注目される松山英樹こだわりのクラブセッティングやマスターズ3日目4日目を中心とした注目プレーをティーチングプロが紹介します。

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2021年のマスターズで日本人で初めて優勝を飾った松山英樹。この記事ではティーチングプロの筆者がプロ目線で松山英樹のクラブセッティングやマスターズでのプレー、アマチュアが見習いたい松山英樹のスイングやプレースタイルなどを解説します。

マスターズ史上初のアジア人優勝者!


2021年のマスターズは日本人にとって忘れることは無いでしょう。なんたって優勝者が日本人初、アジア人初の松山英樹ですから。今までも多くの日本人がマスターズに挑んできました。今までの日本人最高順位は4位。優勝まであと一歩の所まで行くものの、後一歩が遠く勝てないでいました。松山英樹はプロになりメジャーで勝つことを目標に早くして主戦場をアメリカに移した日本人。アマチュア時代マスターズでベストアマにも輝いています。そんな松山英樹はゴルフの腕は超一流でも、一般人からの認識はイマイチ。石川遼はゴルフをやらない人でも名前と顔が一致しますが、松山英樹は名前こそ知っていてもパッと顔を思い出せるかというと、思い出せない人も多くいます。普段の松山英樹は真面目ではたから見ればちょっと不愛想に思う人もいたかもしれません。この優勝でゴルファーだけでなく一般人にも浸透することでしょう。

マスターズでの松山英樹のクラブセッティング

松山英樹と言えばクラブに対してのこだわりが人一倍強いプロです。まずは今回のマスターズでどのようなセッティングだったのか見ていきましょう。

ドライバー ダンロップ スリクソン ZX5(ロフト9.5度)
シャフト グラファイトデザイン ツアーAD DI-8 (硬さTX、長さ45.25)
フェアウェイウッド テーラーメイド SIM2(3番15度)
ユーティリティ テーラーメイド SIM UDI ユーティリティ(3番19度)
アイアン ダンロップ スリクソン Z-フォージドアイアン(4番―PW)
ウェッジ クリーブランド RTX4 フォージドウェッジ(52、56、60度)
パター スコッティキャメロン ニューポート2 プロトタイプ
ボール スリクソン ZスターXV

松山英樹はダンロップ契約プロですが、松山英樹のような大物になると自分が使いたいクラブなら他メーカーのクラブでも使用しています。プロでも契約内容によって様々です。全て同じメーカーのクラブで揃えなければいけないような契約や、アイアンのみ使用していれば良いなど人により違いがあります。ツアープロの中には自分が気に入ったクラブが見つかるまで妥協しないという選手もいて、クラブが見つかるまで時間はかかりますが、気に入ると長年使用する傾向があります。松山英樹は妥協を許さないタイプです。気に入るまでは時間がかかりますが気に入った道具は長年使用する傾向があります。
※掲載のモデルはすべてがプロが使用するモデルと完全に同じものではありません。ご購入の際はよくご確認をお願いします。

ドライバー:ダンロップ スリクソン ZX5(ロフト9.5度)

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松山英樹が特に悩んでいたのがドライバー。アマチュア時代から2016年までダンロップのZR-30を使用していましたが、そこからは色々なメーカーのモデルを試していました。松山英樹が第一に考えるのが見た目。クラブ開発者によると見た目が気に入らないと打ってもくれないそうです。メーカーの人から聞いた話だとテークバックで芝を擦ってあげた時の感触が気に入らないから使わないとも言っていました。顔が悪かったら使わないことは理解できますが、テークバックで芝を擦った時の感覚なんて普通の人では全く理解ができません。何故なら通常打つ時はテークバックでは芝を擦らないからです。細かいことにも妥協しないのが松山英樹です。そんな松山英樹が最近信頼して使用しているのがダンロップの新モデルのドライバー、スリクソン ZX5。同時期にスリクソンからZX7も出ていて両方試合で試していましたが、ZX5がお気に入りのようです。これはプロとしては意外です。長年愛用していたZR-30に似ている顔はZX7です。ZX5とZX7は、どちらも460ccのヘッドではありますがアスリート向けなのがZX7です。左へのミスを気にせずに振っていけるのがZX7で、ZX5はそれよりも簡単に捕まる印象です。ただツアーで戦う松山英樹は市販と全く同じではない可能性が高い。松山英樹の希望を取り入れ細部を調整したモデルのはずです。松山英樹によると、構えた時の顔が良いとのこと。実際マスターズではドライバーのミスが少なく活躍していました。

シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD DI-8 (硬さTX、長さ45.25)

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最近はドライバーを頻繁に変える松山英樹ですが、シャフトはずっとグラファイトデザイン ツアーAD DI-8を使用しています。このシャフトはトルクが少なく、振ってもシャフトが暴れずスイングがそのままボールに影響するシャフトです。一般的な感覚でいうならしなりのない棒。アイアンが得意な松山英樹はシャフトが余計な動きをするのを嫌うのでしょう。

フェアウェイウッド:テーラーメイド SIM2(3番15度)

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3Wはテーラーメイド SIM2。以前はテーラーメイドのロケットボールズステージ2を使用していて、それ以来テーラーメイドの3Wがお気に入りの様です。飛距離性能とやさしさを兼ね備えており、低重心なのでスピン量も少なめのクラブです。

ユーティリティ:テーラーメイド SIM UDI ユーティリティ(3番19度)

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ユーティリティをどうするのか直前まで悩んでいたそうですが、選んだのはテーラーメイド SIM UDIです。アイアン型ユーティリティでアイアンに定評のある松山英樹だからこそのユーティリティだと思います。マスターズで戦うには長い距離だろうと点で狙う必要があるので、ウッド型ユーティリティではなくアイアン型ユーティリティを選択したのでしょう。

アイアン: ダンロップ スリクソン Z-フォージドアイアン(4番―PW)

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アイアンはダンロップ スリクソン Z-フォージドアイアン。最近はずっとこのアイアンです。一時期セミキャビティのアイアンを使用していましたがマッスルバックのこのアイアンがピンポイントで狙うのに最適です。アイアンの名手松山英樹の相棒と呼べるのではないでしょうか。

ウェッジ:クリーブランド RTX4 フォージドウェッジ(52、56、60度)

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ウェッジは3本入れています。クリーブランド RTX4 フォージドウェッジの52、56、60度となっていますが、実際はロフトを調整して50、57.5、62度にしているそうです。マスターズではこのウェッジで、寄せにくい場面からでもピンそばにつけていたのが印象的でした。

パター:スコッティキャメロン ニューポート2 プロトタイプ

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※こちらのモデルは松山英樹がマスターズで使用したモデルとは異なります。
パターはマスターズ直前に普段使用しているスコッティキャメロンニューポート2から2012年製のキャメロンニューポート2プロトタイプに変更しました。2週間前の大会から使用したそうですが、その時のグリップはキャメロンのグリップ。ですがマスターズではラムキンのコード入りのグリップを使用していました。松山英樹の一番の問題はパター。ショットメーカーだけに、パターさえ決まれば爆発的なスコアが出せます。マスターズはガラスのグリーンと呼ばれるようなとても速いグリーンです。彼なりの考えがあってパターの変更したのでしょう。このおかげかはわかりませんが、嫌な距離のパターが入り優勝を掴んだことは事実です。
こうして松山英樹のクラブセッティングを見ると、全体的に重めでしっかりとしたクラブで戦っていました。このようなセッティングができるのはクラブの遠心力に負けない肉体と自分でコントロールできる技術が不可欠です。いかにもアイアンの名手の松山英樹らしいセッティングだと思います。

ボール:スリクソン ZスターXV

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マスターズでの松山英樹の注目プレーを解説


今年はコロナの影響もありいつもより静かなマスターズでした。観客は少なくタイガーウッズは事故の怪我で欠場。選手にとっても決してやりやすい環境では無かったと思います。そうは言ってもマスターズ。世界の超一流選手だけしか招待されない特別な試合。場所はメジャー大会で唯一同じ会場のオーガスタインターナショナル。メジャー大会の中でも特別な大会がマスターズです。松山のマスターズはどのような感じだったか振り返ってみたいと思います。

1日目

まず初日。初日で出遅れると優勝は遠くなります。結果から言うと3アンダーの2位タイ。かなり期待できる順位でした。何と言っても8番ホールのイーグルが効いています。アプローチもピンに寄り寄せた後のパットも決め、パターを変えたのが良かったようです。ボギーも1つだけの安定の初日のプレー。

2日目

予選カットがある2日目。2位タイで出ていった松山英樹ですが見ている方としては予選カットのことより松山英樹がどこまで伸ばせるのか気になるところ。この日の結果は1アンダーのトータル4アンダーで6位タイ。やはりマスターズ上位に来る人は必ずスコアを上げてきます。上位でこの日オーバーパーを打ったのは21位の選手までいません。つまり20位までの選手はパープレイ以下のスコアで回ってきています。その中で松山英樹は1アンダー。13番でイーグルを取ったのはさすがです。トップのジャスティンローズがパープレイだったので2日目を終えて飛びぬけた選手はおらず混戦模様で3日目に突入します。

3日目

松山英樹が凄かったのが3日目。前半はノーボギー1バーディーの1アンダーで折り返し11番で右にボールを曲げた所で雷による中断。曲げてからの中断は普通は嫌なイメージが出るのですが、松山英樹は中断中、車の中でゲームをしてリフレッシュしたそうです。それが功をそうしてなのかそこから乗せてバーディ。続く風の読みが難しい12番もバーディー。その後15番パー5はフェアウェイから打ったボールがピンから1.5メートルにつけきっちり入れてイーグル。さらに16番17番でもバーディーパットを沈めて18番。セカンドショットを奥に外し絶対に寄らないであろうアプローチをグリーンに直接落とさずに寄せるスーパーアプローチ。解説の中嶋常幸プロも言っていましたが100回打って1回寄るかどうかの状況を見事に寄せてパー。この日だけで7つもスコアを伸ばしてトータル11アンダーで首位に立ちます。2位は7アンダー。4打差で最終日に突入です。

最終日前半

日本人初優勝のかかったプレッシャーなのでしょうか?1番のティーショットは右に曲がっていき、林の中へ。そこから木の隙間を抜いてグリーンを狙いますが、乗らず入らずのボギー。2位のザラトリスは1番2番ともにバーディで追い上げてきます。ですが松山英樹も2番でバンカーから寄せてバーディを取ってスコアを戻します。そこで落ち着いたのか7番までパーを重ねていきます。この時点で松山英樹がトップで2位のザラトリスが3打差で追いかけています。3位は6アンダーで11アンダーの松山英樹との差は5打開いています。8番パー5は2打目が奥に外れてアプローチが残ります。下のアプローチを手前にワンクッション入れて1メートルに寄せてバーディ。続く9番は完璧なティーショットにキレのあるアイアンでベタピンにつけてバーディ。前半を終わり松山英樹13アンダー、ザラトリス8アンダー、同じ組で回っているシャウフェレ6アンダー。松山英樹の実力を考えると安全圏。とは言え最終日バック9は魔物がいると言われており油断なりません。特に11番、12番、13番のアーメンコーナーは池も絡み大叩きの可能性もありえます。

最終日後半

10番、11番は落ち着いてパー。12番ショートホールは奥のバンカーに入りボギー。この時点で2位との差は5打差。残りホールが少なくなります。13番のティーショットではボールがフックして林に入ったかと思ったら気に当たって戻ってきてそこからグリーン横まで運び寄せてバーディ。運も松山英樹に味方しています。ここまで来ればもう安心。14番パー15番ティーショットで2オンを狙える位置へ。そこから打ったボールは左に捕まりグリーン奥の下の傾斜に当たりまさかの池。池には入れたもののボギーで上がります。
松山英樹が少しバタついている時に同じ組で回っていたシャウフェレが後半でバーディラッシュ。12番から4連続バーディをとって2打差まで追い上げてきます。5打差あったリードがいつの間にか2打差になっています。しかしシャウフェレの追い上げもここまで。16番ショートで攻めた結果、池に入れてここでトリプルボギー。もしシャウフェレのボールがあと2ヤードキャリーが出ていたら、バーディチャンスについていたはずです。松山英樹は1オンしたものの3パットのボギー。ザラトリスは9アンダーでホールアウトしており2打差です。

17番はティーショットが完璧で2オン2パットのパー。そして最終ホール18番ティーショットはドライバーでしっかり振り切りフェアフェイをとらえます。緊張する場面であれだけ振れるのは流石の一言。ピッチングで打ったセカンドショットは少し右に飛んでいきバンカーへ。そこからしっかり出して2メートル程につけます。次のパットは外れますがしっかり距離を合わせてボギーをとり優勝です。実況席にいる皆、感動のあまり泣いていたのが印象的でした。日本人初優勝。ゴルフ好きな人誰もが待ち望んでいた結果です。

松山英樹のスイングの特徴


松山英樹はスイング改造をして以前に比べトップがフラットになっています。こうする事で入射角が低い位置から入りスピン量が安定します。バックスイングで右に流れると当たらなくなるのですが、彼の太ももを見ればわかる通り下半身は安定しています。そこからしっかりと肩を入れ捻転差を作ります。松山英樹と言えばトップで止まる動き。普通この様に止まると腕で下ろしやすくなるのですがしっかりと下半身から動き出しています。そしてダウンスイングからフォローにかけて右腰が高い位置で回転します。前傾キープをしながらこの様に右腰が高い位置で回る事でダウンブローに打てるのです。

プレースタイルでアマチュアが学ぶべきところは?

松山英樹のプレーで参考にできることはあるのでしょうか?松山英樹のスイングの特徴は一度トップで止まること。多くのアマチュアは打ち急ぐあまりテンポが速くなりがちです。そんな時は松山英樹を思い出してトップで間をおくと安定すると思います。松山英樹は世界でもアイアンのキレに定評があります。毎回振り切るのではなく、フェースローテーションを抑えたライン出しが上手い選手です。アイアンは狙ったところにピンポイントで落としたいのでアマチュアにも見習ってもらいたいのがライン出しです。
今回マスターズではグリーン周りからのアプローチで手前にワンクッション入れてアプローチしているのが印象的でした。グリーンの速さにもよりますが、アプローチだからと言って上げて止めるばかりではないのです。低くボールを出した方がアプローチは安全です。この様なプレーも参考にしましょう。

まとめ

歴史的な快挙となった2021年マスターズの松山英樹の活躍についてティーチングプロの筆者が解説しました。いつか日本人がメジャー大会で勝てる日が来ることを夢見ていましたが、それが実現したのが2021年のマスターズです。今日本でマスターズ優勝を勝ち取る実力を持っているのは、松山英樹以外にはいないでしょう。今までメジャーで勝つために色々と試行錯誤してきた結果がでました。松山英樹プロ、選手おめでとうございます。そして感動をありがとうございました。

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鈴木
鈴木

PGA(日本ゴルフ協会)ティーチングプロ。ゴルフ歴は30数年。小さいころからPGAティーチングプロである父の指導の元ゴルフの練習に励む。高校を卒業したのち神奈川県にあるゴルフ場の研修生として働く。25歳でPGA(日本ゴルフ協会)会員となりレッスン活動に励む。現在は某ゴルフスクールでレッスンしている。誰にでも分かりやすく楽しいレッスンを心がけています。

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