大手ゴルフ量販店では店頭に並ぶことのない全国各地の小規模なメーカーが、吟味した素材を用いて確かな技術と経験で造り出すゴルフクラブが地クラブです。以前は一部の上級者の好みに合わせたクラブとして造られていましたが、ネット環境が整ったこともあり全国各地の地クラブを購入できるようになっています。独自のポリシーを持って製造する地クラブメーカー7社と代表的なアイアンの紹介、なによりも地クラブについての解説も含めてご案内します。
地クラブとは
地クラブとは、全国各地の小規模なゴルフメーカーやゴルフ工房が製造しているゴルフクラブのことです。ゴルフ工房の多くは市販品のシャフトやグリップ、もしくはバランス調整などのカスタムメイドから始まり、やがて個々のゴルファーに合わせた独自のゴルフクラブ造りが地クラブへと発展していきます。以前はゴルフ工房に通っているゴルファーに向けて製造販売をしていましたが、現在はネット環境が整ってきたこともあり小規模のゴルフメーカーの個性的なクラブを全国に販売しています。
ゴルファーから高い信頼を受けているクラフトマンが造り出す地クラブは、一般的に依頼を受けてからゴルファーの体形や技量などを分析して、設計・デザインを起こし素材や製造方法を確認してから製造に着手します。造り出されたクラブで試打を繰り返しながら何度も調整を行い、いわゆる“一本物”のクラブが完成するわけです。大量生産とは違って惜しみなく手間をかけ素材にこだわることから、市販品に比べると価格設定が高くなりがちですが、それでも注目を集めているのは「自分に合ったクラブ」のニーズによるものでしょう。
一般的な地クラブはヘッドのみの単体で販売価格が設定されていて、シャフト・ソケット・グリップ・装着工賃は別途費用がかかります。なかには指定シャフトを装着したトータル価格もありますが、それでも指定外のシャフトやグリップを希望する場合にはやはり別料金が必要になるので注意が必要です。
地クラブアイアンの魅力・おすすめする理由
地クラブをおすすめする理由は2つあります。
1.自分の技量に合わせたクラブを使える
1つは、自分に合ったゴルフクラブを使えることです。市販品は万人に合うように造られているので、実際に使い始めてからフレックスやバランスが気になりシャフト交換やヘッドにウェイトを貼り、グリップの太さや質感が合わずに交換、最終的にはヘッドの操作性が気になり買い替えてしまうかもしれません。地クラブであれば製造前に好みや技量を確認しているので、でき上がったクラブは直感的に「合っている」と思えるはずです。しかも製造後に微調整を繰り返し納得した上での納品となるので、自分に合っていないクラブを使い続ける必要はなくプレーに集中できます。
2.ニューモデルへの買い替えが不要
もう1つは、ニューモデルの買い替えをしなくても済むことです。どんなに良いクラブあっても数世代前のモデルだと、周囲の視線を意識して新しいモデルに買い替えてしまうことがあります。地クラブは自分の好みに合わせて造られたオーダーメイドなので、年式を問われることも周囲の視線を意識する必要もありません。もちろんゴルフ界全体の潮流から最新のグリップやシャフトを交換することがあるかもしれません。その場合でも製造時のデータのある地クラブメーカーに依頼すれば、重量やバランスに配慮した最良のクラブに仕上げてくれるはずです。
地クラブアイアンの人気メーカー7社
1.RODDIO（ロッディオ）
信頼度が高い大規模メーカー傘下の地クラブメーカー
RODDIO（ロッディオ）は、カーボンシャフトメーカーでもある釣り具で有名なダイワ精工の関連会社であり、ゴルフクラブのシャフト・ドライバーヘッド・アイアンヘッドなどクラブパーツを販売する地クラブメーカーです。そもそも社名のRODDIO（ロッディオ）は、「神の鞭」といわれるロッド、すなわち釣竿のフィッシングロッドから生まれたものです。世界に認められた釣竿製造の技術をゴルフクラブのシャフトに活かし、さらに適合する独自のヘッドを生み出してきたのがRODDIO（ロッディオ）なのです。
2. PXG（ピーエックスジー）
誰にも真似出来ない究極の逸品を造る地クラブメーカー
PXGは、パーソンズ・エクストリーム・ゴルフの頭文字から生まれた社名で、米国の地クラブメーカーです。地クラブといっても創業者は総資産3000億円を超える大富豪、毎年数千万円をクラブ購入に費やしていることから、自ら「ゴルフ中毒」と名乗るほどのゴルフ愛好者です。創業者ボブ・パーソンが納得できるクラブを造るために設立したのが究極（エクストリーム）の地クラブメーカーPXGなのです。
3. RomaRo (ロマロ)
独自のアイデアと完成度の高い地クラブが魅力
RomaRoは、2005年にロア・ジャパンが地クラブメーカーのブランドとして設立、当初は「知る人ぞ知る」地クラブメーカーとしてスタートします。主たる製品はウェッジとパターでしたが、2010年に転機が訪れ、RomaRo Rayとして発表したフェアウェイウッドとユーティリティが大当たり、一躍ゴルフ界の人気ブランドとして認知されることになります。その後は独自のアイデアと完成度の高い人気製品を数々送り出し、満を持して究極のアイアンを発表したわけです。
4. BALDO (バルド)
唯一無二のゴルフクラブブ造りが人気
BALDOは兵庫県でゴルフ工房系のメーカーとして設立、クラブヘッドに特化した製品作りで徐々に知名度を上げていきます。流行にとらわれず模倣することなく、独自の世界感を大事にした個性豊かな「機能と性能を表現するデザイン」を守り抜いたことで、全国的な地クラブメーカーとしての階段を上ってきました。新たな素材を使ったフェース、凹凸をつけた個性的なヘッドデザイン、強靭なボディー造りなど大手メーカーや地クラブ他者メーカーと一線を画す製品が功を奏したようです。今後も創造を実現させるための唯一無二のゴルフクラブが期待できるメーカーといえるでしょう。
5. PRAZZLE DAZZLE (ラズル・ダズル)
限界への挑戦を続ける魅力ある地クラブメーカー
埼玉県にある株式会社MURATAの関連会社としてAZAS GOLFがあり、ゴルフブランドとして地クラブメーカーのPRAZZLE DAZZLE、オーダーシューズのAzas ORDER SHOES、他にゴルフウェアなども扱っているトータルメーカーです。地クラブメーカーは2016年創業、マッスルバックやキャビティバックのアイアンヘッドや、ロフト角が9種類あるウェッジのヘッド製造のほか、野球のマスコットバットのようなヘッドを重たくした練習用アイアンなども開発しているチャレンジ旺盛な地クラブメーカーです。
6. MIURA (三浦技研)
地クラブ業界のリーディングカンパニー
名クラフトマン三浦勝弘氏が興した地クラブメーカー、圧倒的な技術力と経験により自社製の軟鉄鍛造は、大手ゴルフメーカーや国内外のツアープロからも認められたまさに唯一無二の地クラブは高い評価を受けています。地域から全国へ、全国から世界へと一段ずつステージを登り、認知度の高い三浦技研からMIURAに社名を変更し、地クラブ業界では進化を続けるリーディングカンパニーと呼べる存在です。次代を担う世代交代の準備も整い、さらなる飛躍が期待できるクラフトマンの集合体といえるでしょう。
7.藤本技工
半世紀を超える匠の技が光る地クラブメーカー
半世紀にわたり軟鉄鍛造の地クラブ製造にこだわってきた藤本技工、国産アイアン製造の発祥地といわれる兵庫県で、軟鉄鍛造のヘッドを造り続けています。創業者であり最古の職人といわれた藤本美信氏の技術を受け継ぎ、軟鉄の丸棒を熱して伸ばし鍛えるプロ、鍛造後のヘッドを研磨し形状と重量を適正化するプロ、仕上げの刻印までそれぞれ熟練したクラフトマンが造り上げる創業時からの作業工程を大事に丁寧な仕事をしている地クラブメーカーです。
地クラブアイアンのおすすめ7選
1.【RODDIO】 PC FORGEDアイアン
お洒落で精悍なデザインのヘッドで飛距離を追求
ロッディオPC‐FORGEDは、アイアンにとってもっとも重要な距離と方向の精度を高めながらも飛距離を追求したフォージドアイアンです。5番アイアンからピッチングウェッジまでのアイアンは、扱いやすい低重心の幅広ソールによってアイアン型ユーティリティのような振り抜けの良さと飛距離アップが実感できることでしょう。一方でQ・R・Sのウェッジは、スピンを増大させるCNCミーリングをフェース面に施し、100ヤード以内から「ピンに寄せて止める」道具として、初心者から上級者までゴルフレベルにとらわれず満足できる地クラブアイアンです。
PC FORGEDアイアンの口コミ
PC FORGEDアイアンの仕様・製品情報
| 素材・製法 | 軟鉄（S25C）・鍛造 |
| 仕上げ | クロームメッキ・精密ミーリング・ニッケルメッキ加工 |
| 番手 | #5・#6・#7・#8・#9・PW・Q・R・S |
| ロフト（度） | 23・26・29・33・38・43・46・51・56 |
| ライ角（度） | 61・61.5・62・62.5・63・63.5・63.5・63.5・63.5 |
| FP（mm） | 1.8・2・2.2・2.5・2.7・3・3.4・3.5・3.8 |
| バウンス（度） | 1・1・2・2・3・4・8・8・10 |
| ヘッド価格（税込） | 88,000円（4個セット#7-PW）、22,000円（単品） |
2.【PXG】 0311T GEN4アイアン
最新テクノロジーで異次元のパフォーマンス
熱して鍛える鍛造（たんぞう）工程を5回も行った0311T GEN4のヘッドは、飛距離と正確さ、操作性と寛容性、匠ならではの技術が詰め込まれています。ブレードを短くソール幅を狭くしたコンパクトなヘッドサイズは、まさに上級者好みの逸品。独自の研究によって開発されたポリマー素材のXCORテクノロジーによって生まれる高い反発力と圧縮性は打感の良さ、フェース表面は耐久性の高いダイヤモンドライクカーボンとミーリング製法によって、摩耗することなく必要に応じたスピン量が得られることでしょう。
0311T GEN4アイアンの仕様・製品情報
| 素材・製法 | 軟鉄（S25C）・精密鍛造 |
| 仕上げ | Wニッケルクロム・ディープサテン仕上げ |
| 番手 | #3・#4・#5・#6・#7・#8・#9・W・G |
| ロフト（度） | 20・22.5・25・28・32・36・41・46・51 |
| ライ角（度） | 60.5・61・61.5・62・62.5・63・63.5・64・64 |
| バウンス（度） | 2・3・4・5・7・9・11・12・12 |
| ヘッド価格（税込） | 38,000円（単品）・265,996円（セット：ヘッド・シャフト・グリップ） |
3.【RomaRo （ロマロ）】Ray TYPE R PLUSアイアン
ミスへの許容性を最大限に高めた深ポケキャビティ
ロマロのRay TYPE R PLUSは、ワイドソールのポケットキャビティタイプのアイアンです。ヘッドの外周フレームを厚くしたことで深くて広い構造のポケットキャビティは、スイートスポットエリアが広まったことで打点のブレを吸収し、安定した飛距離と直進性を与えてくれます。ボールをしっかりとらえることができる低重心・深重心設計、振り抜けの良いワイドソール、スプリング効果による飛距離アップが期待できるポケットキャビティは、上級者はもちろんのこと初心者にもやさしいアイアンといるでしょう。
Ray TYPE R PLUSアイアンの口コミ
Ray TYPE R PLUSアイアンの仕様・製品情報
| 素材・製法 | 軟鉄（S20C）・鍛造（一体成型・CNC加工） |
| 仕上げ | 銅下・ニッケルクロムメッキ・サテン仕上げ |
| 番手 | #4・#5・#6・#7・#8・#9・PW |
| ロフト（度） | 22・25・28・31・35・39・44 |
| ライ角（度） | 61・61.5・62・62.5・63・63.5・64 |
| FP（mm） | 2.6・2.9・2.9・3.5・3.7・4・4.5 |
| バウンス（度） | 4・4・5・5・5・8・8 |
| ヘッド・シャフトセット価格（税込） | 174,900円（6本セット#5-PW）、29,150円（単品#4） |
4.【BALDO （バルド）】 CORSA FORGED IRON DEEP CAVITY BLACK KNIGHT‐TYPE DC
深重心設計のディープタイプで高い安定性のキャビティー
人気のBALDO CORSA FORGED IRONのDCタイプにブラックカラーが仲間入り。ツアーサテンブラックで仕上げたヘッドは太陽光の反射を抑え、ターゲットに向けて構えやすくしっかりボールをとらえることができるセミグースタイプのネック、さらにキャビティタイプヘッドの深い重心位置が直進性を高めてスライスやフックなどの不要な横回転を抑えてくれます。力むことなく素振りのようなイメージでスイングすれば、定めた目標にボールを運んでくれるアベレージゴルファーにもやさしいアイアンといえるでしょう。
CORSA FORGED IRON DEEP CAVITY BLACK KNIGHT‐TYPE DCの口コミ
CORSA FORGED IRON DEEP CAVITY BLACK KNIGHT‐TYPE DCアイアンの仕様・製品情報
| 素材・製法 | フェース：CNC MILLING +レーザーミーリング加工
ボディー：軟鉄（S20C）・鍛造 ウェイト：タングステンスクリュー（固定） |
| 仕上げ | ツアーブラックサテンフィニッシュ |
| 番手 | #4・#5・#6・#7・#8・#9・PW |
| ロフト（度） | 24・27・30・34・38・42・47 |
| ライ角（度） | 59.5・60・60.5・61・61.5・62・62.5 |
| FP（mm） | 3・3・3.2・4・4・4・4.5 |
| バウンス（度） | 3・4・5・6・7・8・9 |
| ヘッド価格（税込） | 22,000円（1個：6本セット#5-PW）、24,000円（#4単品） |
5.【RAZZLE DAZZLE （ラズル・ダズル）】 CSI-B FORGEDアイアン
打ちたい距離を確実に打つ軟鉄鍛造マッスルバックアイアン
ラズル・ダズルCSI-B FORGEDは、プロや上級者などハイレベルゴルファーに人気のマッスルバックアイアンです。ターゲットラインに合わせやすいシャープで精悍なヘッド、操作性の高いコンパクトサイズ、イメージ通りの打感が得られる精度の高い仕上がりは、繊細な操作を望むゴルファーのニーズを満たす逸品といえます。アベレージゴルファーが望む飛距離や扱いやすさではなく、打ちたい距離まで確実に運び球筋を打ち分けられる技量を持ち合わせた玄人好みのアイアンといえるでしょう。
CSI-B FORGEDアイアンの仕様・製品情報
| 素材・製法 | 軟鉄（S-15CK）・一体鍛造＋CNCミルド |
| 仕上げ | サテンメッキ＋塗装 |
| 番手 | #4・#5・#6・#7・#8・#9・PW |
| ロフト（度） | 22・25・28・32・36・40・45 |
| ライ角（度） | 60.5・61・61.5・62・62.5・63・63.5 |
| FP（mm） | 3.5・3.75・4・4.25・4.5・475・5 |
| バウンス（度） | 3・4・5・6・7・8・9 |
| ヘッド価格（税込） | 101,200円（4個セット#7‐PW・#6‐#9）、25,300円（単品） |
6. 【MIURA (三浦技研)】TB-ZERO Forged アイアン
操作性へとつながる美しいフォルム
「神の手」とも称される三浦勝弘によって創業した地クラブの代表的なメーカー三浦技研（MIURA）、TB-ZEROは三浦技研の原点ともいえる集大成のアイアンといえます。コンパクトでシャープなフォルムは上級者好みの高い操作性へとつながり、フォージドに求める心地よい打感へと行きつきます。1977年から海外メジャーで使用されている三浦技研のアイアンに対するニーズが高まり、2018年三浦技研はMIURAに名称変更、世界を見据えて翌年生まれたのがTB-ZERO Forgedアイアンです。
TB-ZERO Forged アイアンの口コミ
TB-ZERO Forged アイアンの仕様・製品情報
| 素材・製法 | 軟鉄（S25C）・精密鍛造 |
| 仕上げ | Wニッケルクロム・ディープサテン仕上げ |
| 番手 | #3・#4・#5・#6・#7・#8・#9・PW・PS |
| ロフト（度） | 21・24・27・30・34・38・42・47・52 |
| ライ角（度） | 59.5・60・60.5・61・61.5・62・62.5・63・63.5 |
| FP（mm） | 4・4.5・4.8・.4.8・5・5.5・5.5・5.5・6 |
| バウンス（度） | 3・4・4・4・5・5・6・7・8 |
| ヘッド価格（税込） | 105,600円（6個セット#5-PW）、17,600円（単体#3・#4・PS） |
7.【藤本技工】FG-Believerアイアン
鍛え上げたセミラージヘッドの安心感
藤本技工のFG-Believerは、軟鉄鍛造のシャープなヘッドによってアドレスでヘッドをセットしたときに安心感が得られるセミラージヘッドを採用。インパクトでのミスを許容する深いバックフェースのキャビティモデルにしたことで、ソールに厚みを持たせた低重心タイプとなり、振り抜けの良さと高弾道の球筋に自信を持つことができ、さらに安心感を与えてくれます。スイートスポットエリアに厚み持たせていることから、やわらかい打感が期待できる仕上がりとなっています。
FG-Believerアイアンの口コミ
FG-Believerアイアンの仕様・製品情報
| 素材・製法 | 軟鉄（SS400）・鍛造 |
| 仕上げ | ニッケルクロム・サテン仕上げ |
| 番手 | #4・#5・#6・#7・#8・#9・PW |
| ロフト | 22・25・28・32・36・40・45 |
| ライ角 | 60.5・61・61.5・62・62.5・63・63.5 |
| FP（mm） | 3・3.25・3.5・3.75・4・4.25・4.5 |
| バウンス（度） | 0・0・1・2・3・4・5 |
| ヘッド価格（税込） | 151,800円（6本セット#5‐PW）、25,300円（#4単品） |
まとめ
今回は地クラブとは何ぞやから始まり、人気の地クラブメーカーの概要やおすすめのアイアンを選びお伝えしました。以前から上級者のなかでは知られている地クラブですが、地クラブメーカー選びの難しさから敷居の高さもあってか、一部のゴルファーにしか広がらなかったようです。ところがネット販売が注目されるようになってからは、各地の職人による一本物を愛好するゴルファーが増えてきています。長く使い続けられる名工の逸品を手にしてみてはいかがでしょう。
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