ゴルフを始めたばかりの初心者からシングルレベルの上級者まで、多くのゴルファーの悩みの種であるドライバーのスライス。もちろんプロのように狙ってコントロールしたスライスを打つことができれば、胸を張って「持ち球」と言えるのでしょうが、「意図せず曲がる」上に「曲がりをコントロールできない」のがアマチュアのスライスです。しかもスライスは飛距離のロスも大きくなりやすいのが悩みの種。今回はシングルプレイヤーの筆者が、そんなドライバーのスライスを改善する練習法と、スライサー向けのドライバーについて、解説していきたいと思います!
ライタープロフィール:ゴルフ歴13年、ベストスコア70、ホールインワン1回のシングルプレーヤー。最近は練習不足でスコアをまとめるのに苦労している。得意クラブは58°のウェッジと、ゴルフを始めた時から使い続けている7W。
スライスの原因は2つ

ドライバーのスライスが起こる原因は主に次の2つがあげられます。
①インパクト時にフェースが開いている(目標に対して右を向いている)
②アウトサイドインのカット軌道でスイングすることで、ボールに横回転がかかっている
スイングは人それぞれですので、①の理由だけでスライスが出る人、②の理由だけの人、そして①②の両方の理由の人がいます。
そして、この2つを解消することができれば、スライスは改善に向かいます。さらに裏を返せば、フェースを開いてカット軌道で打つことで、意図的にスライスボールを打つことができる、ということになります。たとえば、木がスタイミーで狙いづらい時などに役立つでしょう。では、ドライバーのスライス対策と改善に向けた練習法を紹介します。
スライス対策と改善に向けたチェックポイント
正しいアドレスができているか

スイングを変える前に、まずはアドレスから考えましょう。スタンスは目標に対してまっすぐでも、肩のラインが左を向いているという人がいます。すなわち、「右肩が前に出ている」状態です。ゴルフのグリップは右手が下ですから、右肩が前に出やすいのは仕方がないことですが、このままではどうしてもスイングの軌道がカット軌道になりやすくなってしまいます。肩のラインも目標に対してスクエアになるようにしましょう。
ボールの置く位置をチェック
基本通り、左足かかと線上よりほんの少しだけ内側にボールを正しく置けていますか。ボールが左にありすぎると、状態が突っ込んで打ちに行くような姿勢になりやすく、自然とスイングがカット軌道になりやすくなります。ボールの置く位置はスイングやクラブをいじる前にすぐ確認できることですので、改めて自分のボールを置く位置が適切か確認しましょう。ボールとの距離感
ボールに対して遠すぎても近すぎてもよくありません。特にボールとの距離感が遠すぎると、スイングの軌道が安定しなくなり、右脇が開いてクラブが外から入ってきたり、大きく振り遅れてボールが右に飛び出したりとミスの元です。腕の長さやスイングによって変わりますが、基本的にはグリップエンドと体の間にこぶし1つ〜1つ半くらいの隙間があるのが良い、と言われています。自分のボールとの距離感を改めて確認してみましょう。体重移動

当たり前のようですが、テークバックしてトップの位置ではしっかり右足に体重が乗り、インパクトからフォローにかけては左足に体重移動をしていく必要があります。この基本ができていない状態だと、上体が安定せず、スイングはバラバラになってしまいます。さらに、テークバック時の体の捻転が少なく、しっかり右足に体重が乗っていない場合は、飛距離も出にくくなってしまいます。体重移動のときは腰がスウェー(注)しないように、左右の股関節に体重をかけるイメージ(テークバックでは、少し右のお尻を引くようなイメージ)でやると自然に体重移動ができます。
(注)スイング中に体(の軸)が左右に動いてしまうこと
振り遅れが起きていないか

振り遅れの原因は、2つあります。
1.上体が突っ込んでしまう
左肩が開き、クラブが体の回転から大きく遅れた状態でインパクトすることになり、カット軌道とフェースの開きの両方でスライスが出てしまいます。
2.クラブが極端にインサイドから出てくる
カット軌道にならないようにと意識するあまり体が回転せず、グリップが体の軸から外れてクラブが寝てしまうとフェースが開いた状態でインパクトをすることになります。フェースを開いてしかも右に押し出すようなスイングとなり、スライスが出てしまいます。
この2つが振り遅れる大きな原因なのですがこの2つには共通点があります。それは、グリップが体の軸(体の正面)から外れていることです。ハンドファーストをスイング中に意識しすぎるあまり、グリップが体の軸から外れるような癖(手が目標方向に突き出ているような癖)がついてしまっている人は多いです。アドレス時に胸の前にできた三角形が崩れないように、もう一度意識してみましょう。
スライスを直す練習方法3つ
原理や原因がわかったところで、スライスを直す練習方法を3つ紹介します。1.上体の改善と正しい腕の動きをつくるー狭いスタンスでボールを打つ
まず、極端に狭いスタンスでボールを打つ練習です。この練習の目的は、「腕をローテーションさせることでフェースが自然に返る」というスイングで重要な腕の動きを身につけることです。気を付けるポイントとしては、極端に狭いスタンスだと上体が突っ込むとバランスが取れなくなるので、上体が突っ込まないようにすることと、手打ちにならないよう、しっかりと上体を回転させることです。
2.上体とスイングの軌道改善にーベタ足で打つ
2つ目はベタ足で打つ練習です。インパクト後右足のかかとが上がらないように打ちます。これは右足に体重を残すということではなく、しっかり体重移動をした上で、右足のかかとが地面から離れないようにする、というのがポイントです。ドライバーを打つときはボールは左足寄りにありますが、少し体の右側でボールを捌いていくような意識で打てるようになるので、上体が突っ込まないだけでなく、適切な軌道でスイングできるようになる効果も期待できます。3.スイングのあらゆる悩みを解決する万能ドリルーハーフスイング

3つ目は5〜7番アイアンを使って、時計の3時から9時までスイング(ハーフスイング)でボールをひたすら打つ練習です。意識する点は2つあり、トップの状態とフォローの状態で両右腕がほぼ左右対象になっているようにすること、そしてインパクトの際にフェースの真ん中でボールを捕らえるようにすることです。
正しい腕の動きができていれば、軽めのドローボールが出るはずです。テークバック時とフォロー時の腕の形がほぼ左右対象になり、つかまった弾道のボールが出るようになれば、正しい腕の動きが身についた証拠です。少し地味な練習ですが、これはスイングのあらゆる悩みに対して効果を発揮する万能薬的なドリルですので、是非実践してください。筆者も悩んだときにはひたすらこれをやります。しっかり芯で捕らえる感覚を身に着ける上でも非常に価値のある練習です。
基礎トレーニングにスクワットを
これら3つのドリル練習に加え、基礎トレーニングのひとつとしてスクワットも取り入れてみましょう。飛ばしと綺麗なスイングのために必要な十分な体の捻転と体重移動には、強靭な下半身が不可欠です。地味ですし即効性もないのですが、足腰を鍛えておくことは日常生活にもプラスに働くことは間違いないですので、だまされたと思ってやってみてください。実践時のポイントは、腰が反らない様にすること、膝が爪先よりも前に出ないようにすること、しっかりとお腹に力を入れてやること、の3点です。スライスしにくいドライバーの選び方のポイント

スイングを変えるのは容易ではありませんが、地道にコツコツ続けることが大切です。ですが、いくら練習してもスライスが改善しないという人は、ドライバーが合っていない可能性もあります。スライスしにくいドライバーを選ぶ上で重要なポイントについて紹介します。
ポイント1:重心角と重心距離

一般的には、重心角が大きく重心距離が短いヘッドのクラブは、フェースが返りやすく球が上がりやすいため、スライサー向きと言われています。しかし、フェースが返りやすいクラブというのは「フェースの開閉がしやすい」クラブでもあるので、フェースが開きやすくなってしまうというデメリットもある、と言えます。なので、フェースの開閉は程々に、重心角を大きくして球を上がりやすく、直進性を高めたモデルこそが最もスライサーに向いたドライバーであるということができるでしょう。また、ロフト角が大きい方がつかまりが良くなります。ですので、スライスを抑える上では、ロフトが10°または10.5°のモデルを選ぶのが適当です。
ポイント2:つかまりやすいシャフトは先調子~中調子
そして、ヘッドと同じくらい大事なのがシャフトです。シャフトを変えるとほぼ別物のクラブになると言っても過言ではないほど、シャフト選びは重要です。もっとも、最近のモデルにはヘッドに合った性能の高いシャフトが装着されているだけでなく、個々の好みやヘッドスピードに応じてシャフトを選択できるモデルがほとんどですので、スライスしにくいシャフトを選ぶようにしていきましょう。シャフトは、そのキックポイント(しなるポイント)で分類され、先調子(手元が硬く先端が柔らかくしなる)、中調子(ヘッドの真ん中部分がしなる)、元調子(手元でしなり先端は硬い)の主に3つに分けられます(その中間の先中調子、中元調子、2つしなるポイントがあるダブルキックもありますが割愛)。スイングによって異なりますが、一般的には先端がしなりヘッドが走る感覚が得やすい、先調子〜中調子のシャフトがスライサーには向いている、と言われます。もちろん、テークバックからダウンスイングへの切り返しのタイミング等の差で好みや適性はわかれますが、先調子〜中調子のシャフトにすることでボールを捕まえやすくなることは間違いありません。クラブを選ぶ際には、シャフトのスペックも必ず確認するようにしてください。
スライサーにおすすめしたいドライバー4選
スライサーにおすすめのスライスしにくいドライバーを紹介します。最新モデルだけでなく、少し安く手に入る名器も要チェックです。
キャロウェイ ローグ スター(ROGUE STAR)ドライバー
最初に紹介するおすすめのドライバーは、「ローグ スター(キャロウェイ)」です。シャフトはいくつかから選べますが、もっともスライサーやビギナーゴルファーにもやさしいのが、Speeder EVOLUTION for CW 50(S)です。誰でも憧れのハイドローが打てる、やさしく飛ばせるクラブ
昨年ツアーで2勝を挙げ、飛ばし屋としても知られる美人プロ、柏原明日架選手も愛用しているクラブです。ヘッドの弾き感と初速の速さでしっかりと飛ばせるクラブ。ミスヒットにも寛容で、打球が伸びてくれるので飛距離のロスが少なくやさしいです。また、ヘッドが走る感覚が強く、ヘッドスピードのアップからさらなる飛距離向上も望めます。重心が深く球が上がりやすいのもポイントで、筆者イチオシのクラブ。実際にこのクラブに変えてから20ヤード近く飛距離が伸びた人も!2年前に発売されたモデルなのでお買い得に購入できるのもおすすめです。ヘッドスピードが44m/s以上ある方には、Speeder 661 EVOLUTION Ⅳの方が合っていると思います。ローグスターのおすすめポイント
- 圧倒的な飛距離性能
- つかまりの良さ
キャロウェイ ローグ スタードライバーの仕様・製品情報
ヘッド体積 | 460cc |
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長さ | 45.75inch |
ロフト角 | 9.5°、10.5° |
シャフト | Speeder EVOLUTION for CW 50(S) |
キックポイント | 先中調子 |
シャフト重量 | 約57g |
総重量 | 約298g |
飛距離に悩む全てのゴルファー、ドローを打ちたいゴルファー
ゼクシオ イレブン(XXIO11)ドライバー
次に紹介するおすすめのドライバーは、「ゼクシオ イレブン(XXIO11)ドライバー」です。王道にして正統、誰にでも合う万能なクラブ
グリップエンド付近にウェイトを配置したことで、スイング時トップの位置を安定させることができるという「WEIGHT PLUS」を搭載し、さらにやさしさと正確性がアップしました。フェースの反発性能も高く、芯を外しても弾いて飛んでくれるのはさすがゼクシオ、と言ったところ。シャフトの挙動にもクセがないので、多くのゴルファーにフィットするクラブなのは間違いなく、前作の良さを残しつつ確実に性能はアップしています。設計の目安がヘッドスピード40m/s前後のゴルファーなので、それ以上に速くスイングされる方には逆につかまりすぎてしまったり球が吹き上がってしまうかもしれません。ゼクシオ イレブン(XXIO11)ドライバーのおすすめポイント
- やさしく飛ばせる
- つかまりやすく、安定した飛距離が出せる
ゼクシオ イレブン(XXIO11)ドライバーの仕様・製品情報
ヘッド体積 | 460cc |
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長さ | 45.75inch |
ロフト角 | 9.5°、10.5°、11.5° |
シャフト | MP1100カーボンシャフト |
キックポイント | 中調子 |
シャフト重量 | 約42g |
総重量 | 約285g |
こんな人におすすめ!
飛距離に悩むゴルファー、とにかくやさしいクラブで打ちたいゴルファーテーラーメイドM6ドライバー
次に紹介するおすすめのドライバーは、「M6(テーラーメイド)ドライバー」です。シャフトは純正のFUBUKI TM5 2019がもっともやさしく、走りの良いSpeeder 661 EVOLUTION Ⅴもおすすめです。
高い飛距離性能と直進性はピカイチ
反発係数を限界まで高める「スピードインジェクション」とすっかりおなじみになった「ツイストフェース」で圧倒的な飛距離性能と直進性を実現しています。特にミスヒットに強く、正直どこに当たってもちゃんと飛ぶと言っても過言ではありません。前作のM3、M4で完成された感があったMシリーズですが、初速の速さと直進性はさらに向上しています。振り抜きが良くなっているので、しっかりと振り切れるのも前作からアップグレードされた点です。そして顔は比較的シャープで構えやすく感じます。ドローを打ったり、弾道をコントロールするというよりは、「まっすぐ弾き飛ばす」クラブです。テーラーメイドM6ドライバーのおすすめポイント
- 直進性の高さ
- ミスヒットへの寛容性の高さ
テーラーメイドM6ドライバーの仕様・製品情報
ヘッド体積 | 460cc |
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長さ | 45.75inch |
ロフト角 | 9°、10.5° |
シャフト | FUBUKI TM5 2019 |
キックポイント | 中調子 |
シャフト重量 | 約54g |
総重量 | 約299g |
こんな人におすすめ!
飛距離に悩むゴルファー、ストレートボールを打ちたいゴルファーTOUR B JGRドライバー
次に紹介するおすすめのドライバーは、「TOUR B JGR(ブリジストン)ドライバー」です。
ブリヂストン ツアーB JGR19FW フェアウェイウッド TOUR AD for JGR TG2-5 2019年モデル メンズ ゴルフ TOUR B BRIDGESTONE
つかまりの良さはピカイチのアスリートモデル
今まで紹介した3本と比べるとアスリート向けのクラブですが、ミスヒットに強く、球も上がりやすくつかまりも抜群に良いので非常にやさしいクラブでもあります。登場後、そのやさしさと高い性能から一気に話題となりました。今年注目のルーキー吉田優利プロや、実力と美貌を兼ね備え初優勝が期待される松田鈴英プロらが愛用しています。つかまりの良さはピカイチですが、左には行きにくいという素晴らしい性能のクラブです。球も上がりやすいので、ナチュラルにハイドローで飛ばしていけます。ボールの打ち出しが安定し、キャリーがしっかり出て飛距離を稼げるクラブです。前作から大幅に進化したのはミスヒットへの寛容性。多少芯を外してもしっかり飛んでくれます。ヘッドの大きさも安心感を与えて振り抜きをよくしてくれる効果がありそうです。シャフトも豊富な種類から選択できますが、Tour AD for JGR TG2-5は癖がなく、つかまりやすい設計になっています。
TOUR B JGR(ブリジストン)ドライバーのおすすめポイント
- やさしく球を上げて飛ばせる
- つかまりの良さ
TOUR B JGR(ブリジストン)ドライバーの仕様・製品情報
ヘッド体積 | 460cc |
---|---|
長さ | 45.5inch |
ロフト角 | 9.5°、10.5° |
シャフト | Tour AD for JGR TG2-5 |
キックポイント | 中調子 |
シャフト重量 | 約53g |
総重量 | 約294g |
こんな人におすすめ!
ドローボールで飛ばしたいゴルファー、やさしいアスリートモデルで一段上を目指したいゴルファーまとめ

スライスの原因とその解消法、そしておすすめのギアについてまとめましたがいかがだったでしょうか。原因が分かっていてもなかなか直せないのがゴルフの難しいところです。まずはアドレスを見直し、原因を突き止めた上で、ハーフショットのドリルなども取り入れながら少しずつ改善を目指しましょう!また、スライサー向きのつかまりの良いクラブも積極的に投入し、ゴルフをエンジョイしましょう!