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打ち急ぎはなぜ起きる?原因と対処法をティーチングプロが解説

練習ではうまくできたのに、ラウンドにでると打ち急ぎから出るミスが多発してしまうという方に向けて、打ち急ぎの原因と対処法についてティーチングプロが詳しく解説します。

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「今のショットは打ち急ぎだよ。」ラウンド中にこのように言われたことのある方も多いと思います。ゴルフのミスでも特に多いのが打ち急ぎから出るミスです。練習場とは違い1球しか打てないコースでは心理的影響もあり、多くの人が打ち急いでしまいます。分かってはいても出てしまうのが打ち急ぎによるミスです。それではなぜ打ち急いでしまうのか?今回はティーチングプロの筆者が打ち急ぎの原因と対処法をお伝えします。この記事を読んで、ぜひ打ち急ぎによるミスを減らしてみてください。

打ち急ぎとは

打ち急ぎとは切り返しのタイミングが早いということです。タイミングとは順番です。切り返しの正しい順番は下半身が戻り遅れて上半身が戻ってきます。この順番で戻すことで捻転差を最大限利用でき、効率よく飛ばすことができるのです。しかし打ち急ぎになると下半身からではなく上半身から戻すので様々なミスになるのが特徴です。

打ち急ぎに似た表現としてリズムが早い、もしくはテンポが速いということがあります。これは切り返しの順番ではなくスイングそのものが速くなっているということです。普段とは違うスピードで振っているので、こちらもミスになりやすいですが、打ち急ぎといった場合はタイミングのずれだと思っておきましょう。

打ち急ぎの主な原因

それではなぜ打ち急ぎになってしまうのでしょうか?打ち急ぎになってしまう理由は心理的影響です。何発も同じ場所から打てる練習場とは違い、コースでは1球しか打てません。しかも練習場のような平らのマットとは違って、傾斜もあれば風やピン位置によって狙う場所は変化します。ピンの近くに乗せたいと思えば思うほど体に力が入り、いつもと同じタイミングで打てなくなり打ち急いでミスをするのです。それくらい言われなくても分かっていると思う人もいるはずなので、もう少し具体的にどのようにして打ち急ぎになるのかお伝えします。

打ち急ぎのよくあるパターン

打ち急ぎと言っても原因は様々です。よくあるパターンはこちらです。

  1. 手先でスイング
  2. 体が右に流れてスイング
  3. フェースが開いてスイング

1つずつ説明していきます。

1.手先でスイング

打ち急ぎで1番多いのが体ではなく手先でスイングしてしまうことです。バックスイングを手先でヒョイと上げて手先で戻すので体が使えずミスになるパターンです。手先だけで上げると様々なミスになります。バックスイングでは肩が入らずクラブの軌道もアウトサイドに上がるか腕をコネて極端にクラブをインに引くパターンが多いです。アウトサイドに上がって腕だけで戻せばスイング軌道がアウトサイドインとなりスライスが酷くなるでしょう。逆に腕をコネて極端にクラブをインに引くと多くの人はトップで右脇が開いてシャフトクロスになります。シャフトクロスになると、ダウンスイングで右肩が突っ込みアウトサイドインになって極端なスライスがでるか、ダウンスイングでクラブが寝て極端なインサイドアウトになり、下からすくい上げたフックになります。クラブが寝る人はトップになることが多いはずです。ミスショットが出なかったとしても体の捻転差が少なく腕で振るためリリースが早くなります。腕だけで振っているのに更にリリースが早ければ飛距離が出ないのも特徴です。

2.体が右に流れてスイング

バックスイングで右に流れる人も打ち急ぐ典型的なパターンです。特にフィニッシュが右足に体重が残る「明治の大砲」。上半身に力が入りバックスイングで上半身に下半身が持っていかれて体重が右に流れます。この状態から右手の力で振り下ろすため、リリースが早くなり下半身がついていかずに体重が右足に残ったままのフィニッシュになるのです。このような人はダウンスイングだけ極端にスピードが速いのが特徴です。体重が右足に残るのでダフリやトップスライスなど様々なミスになります。

3.フェースが開いてスイング

フェースが開いてスイングする人も打ち急ぐ傾向があります。バックスイングでフェースが開くとそのままではスライスするので、どこかでフェースを戻す必要があります。力を抜いてクラブの重さを利用してフェースを戻せれば良いのですが、多くの人は腕で無理にフェースを返します。そうすると下半身から戻すことが難しく切り返しで打ち急いでミスになります。

打ち急ぎの治し方

打ち急ぎは上半身に無駄な力が入ることで起きる悪い動きです。まずは落ち着いて上半身の力を抜くことが大切です。上半身の力が抜けたら体の捻転を意識してフィニッシュまで振り切れるようになれば打ち急ぎはなくなります。次におすすめのドリルを紹介していきます。

1.連続素振り

打ち急ぎを治すためのドリルで1番におすすめなのが連続素振りです。ハーフスイングやスリークオーターで左右対称に止まらずに連続で素振りをします。トップからフィニッシュまでいったら、そのままの勢いでトップまで持っていくことを繰り返します。連続素振りを繰り返すためには上半身の力が抜けていることが条件になります。上半身の力が抜けていないと途中で止まってしまいます。連続素振りを繰り返すことで上半身の力が抜けて正しいタイミングを覚えられるのでおすすめのドリルになります。

2.クラブバックドリル

体を大きく使って捻転差を作るのがクラブバックドリルです。やり方は簡単です。クラブを背中に担いでスイングするように体を捻じります。クラブを背中に担ぐので背筋が伸びて胸が開きます。やってみると体感できると思いますが、普段以上に体が捻られて捻転差を感じるはずです。捻転差ができなくて悩んでいる人や体が硬い人におすすめできるドリルがクラブバックドリルです。

3.片手打ち

クラブの重さを感じながら体を使ったスイングを覚えられるドリルが片手打ちです。速く打つことができないので打ち急がなくなります。片手打ちとは名前の通り片手だけで打つドリルです。片手だけで打つため速く振ろうとしてもできません。腕だけで打つと疲れるので自然と体の回転を利用したスイングになるのもメリットです。片手打ちは通常の飛距離は出ませんが無理に飛ばそうとしなくてOKです。体で振ることやリズムを大切に振ることを心がければクラブの重さを利用したスイングを身につけることができるドリルです。左右両腕でできるようにしましょう。

打ち急ぎをしないためのメンタルマネジメント

打ち急ぎをしてしまう1番の理由は先ほどもお伝えしたように心理的影響です。コースでは様々なプレッシャーがかかるため打ち急いでしまうのです。これはアマチュアでもプロでも同じです。しかしプロは打ち急ぐことがアマチュア程多くはありません。毎日練習しているからスイングが固まっているという理由もありますが、それ以外にも理由はあります。プロは常に冷静でいられるようにメンタルの勉強もしています。有名なのがタイガーウッズが行なっている10秒ルール。これはミスしたら10秒は怒っても良いからその後は引きずらないようにする方法です。プロによってやり方は色々ありますが、どのプロも共通してやっている方法があります。

それはルーティンです。ルーティンとは打つ前の動作のことです。どのプロも決まった動作でルーティンをしています。毎回決まった動作を行なうことで体が同じように動くようにしているのです。プロによりルーティンのやり方は様々です。ボールの後方から素振りをして両手でグリップをしてから3歩でアドレスに入るプレーヤーもいれば、素振りをしないでフェースにボールを合わせてからグリップを決めて打つプレーヤーもいます。プロによってやり方は違うのですが、どのプロのルーティンを見ていても流れるような動きで落ち着いています。その一方で多くのアマチュアは打つまでの動作がバラバラな人が多い印象です。素振りを本番さながらの勢いで3回やったかと思えば、次のショットは素振りを1回だけで打つなど毎回バラバラな人が多くいます。プロの様に毎回決まったルーティンを行うことでスイングリズムが安定して打ち急ぎが無くなるので試してみましょう。

打ち急ぎをしない正しいスイング

打ち急ぎをしないためにはメンタルの他にも正しいスイングを覚える必要があります。とはいえ全てをここでお伝えすると膨大な量になってしまうので大切な部分をお伝えします。

打ち急ぎをしている人はトップから切り返しで上半身から始動しているのが問題です。つまり切り返しを正しく行うことで打ち急ぎを無くすことができるのです。切り返しで大切なのは間です。間と言っても無理にトップで止まる必要はありません。切り返しの間とはバックスイングでクラブが上がりダウンスイングに向かう時の下半身と上半身の時間差のことです。

正しいスイングではトップで胸が右を向きダウンスイングで胸が右に向いた状態で下半身が左に回転していきます。この時間差を作れるかどうかがポイントです。いわゆる下半身リードと呼ばれる動きがこの動きです。グリップに力が入ると腕、肩、首にも力が入るため切り返しで上半身から動くため間ができません。間を作るためにも上半身は脱力しておきましょう。

まとめ

今回は打ち急ぎについてお伝えしていきました。多くのアマチュアがコースに出ると力が入り打ち急いでいます。コースで飛ばしたい気持ちや、ピンに寄せたい気持ちが強すぎるとプレッシャーがかかって、いつもと同じように打てなくなります。毎回同じように打てるようにするにはルーティンを確立することが大切です。技術的な動きは今回お伝えしたドリルを繰り返し行うことで良くなってきます。打ち急いでいる人はトップでの間が無くなっているのでミスショットが出た時に思い出すことができれば打ち急ぎは無くなるはずです。コースに出ても練習場と同じように打てるよう無駄な力を抜いて打てると良いですね。

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鈴木
鈴木

PGA(日本ゴルフ協会)ティーチングプロ。ゴルフ歴は30数年。小さいころからPGAティーチングプロである父の指導の元ゴルフの練習に励む。高校を卒業したのち神奈川県にあるゴルフ場の研修生として働く。25歳でPGA(日本ゴルフ協会)会員となりレッスン活動に励む。現在は某ゴルフスクールでレッスンしている。誰にでも分かりやすく楽しいレッスンを心がけています。

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