目次
多くのゴルファーが1つの目標としているゴルフスコアでの100切り。100切りのために必要なのは、ショートゲームをたくさん練習することと、コースではとにかく刻むこととよく言われていますが、なぜそれが大事なのか、具体的にどれくらい刻んだら良いのかまで理解していないゴルファーも多いのではないでしょうか。そこで今回は、100切りのために必要な練習内容や具体的なコースマネジメント方法、さらにはメンタルマネジメントに至るまで詳しくご紹介していきます。
100切り達成までの平均期間はどのくらい?
練習量が豊富なジュニアゴルファーであれば、ゴルフを初めて1年くらいで簡単に100切りを達成できます。しかし、週に1度の練習や月に1度のラウンドが精一杯のサラリーマンゴルファーの場合、なかなかそう簡単にはいきません。一般的にどれくらいの期間がかかるかというと、約4割の人が約1~3年かけて100切りを達成すると言われています。3年以上ゴルフを続けて100が切れていない人でも、練習場やコースでの考え方を少し変えるだけですぐに100切りを達成できるので、安心してくださいね。
なかなか100切り達成できない人の特徴は?
「100ヤードを10回成功するより230ヤードのドライバーを1回成功するほうが楽しい」という考え方は、100切りを達成できない人に多く見られる特徴です。調子が良ければ100ちょっとで回れるが、悪いときは120を叩くこともある、というスコアの波が大きい人は、特にこの傾向が強いのではないでしょうか。この考え方を続けていると、正しいコースマネジメントの妨げになってしまうので、まずはこの考え方を変えていくことが100切りに向けた第一歩となります。
100切り達成のための3ステップ
100切りを達成しているゴルファーは日ごろどのような練習をして、何を準備し、前日や当日にはどのような行動をしているのでしょうか。まずは、コースに出る前に必要となる3ステップをご紹介していきます。
ステップ1 50ヤードのミドルアプローチを重点的に練習
練習場では、サンドウェッジを使った50ヤードのミドルアプローチを重点的に練習します。なぜ50ヤードなのか、理由をご説明します。
1.最もグリーンに乗せにくい状況は30ヤード以内にある
球を上げられない左足下がりのラフ、ホームランしそうな長い距離のバンカーなど、上級者でも乗せることが難しい状況はいずれもグリーンから30ヤード以内の場所にあります。グリーンを狙いにくくする目的なので当然といえば当然ですね。逆に、30ヤードを避けてそれより手前(余裕をもって50ヤードくらい)で止めておけば、比較的安全なエリアから打てるケースが多いのです。その安全なエリアを利用して確実にグリーンを捉えるために、50ヤードのアプローチを重点的に練習しておくと良いでしょう。
2.球を上げやすく止めやすい
50ヤードは男性の場合サンドウェッジの60%くらいの力で打ちます。これくらいの強さで打つと、球はしっかりと上がってスピンもかかり、3~5ヤードほどでボールを止めることができます。ランが出すぎてグリーンからこぼれてしまう心配もないので、50ヤードというのは意外と楽に狙っていくことができる距離なのです。
ステップ2 距離計測器の購入
少しお金に余裕があったら、距離計測器を買いましょう。距離計測器といっても、上級者が使うようなレーザー式の計測器ではありません。コースのレイアウトを一画面で表示できるGPS式の計測器がおすすめです。100前後のゴルファーにGPS式計測器をおすすめする理由は2つあります。
1.コースを上から見ることができる
ティグラウンドからコースを眺めただけでは、本来広いはずのエリアが狭く見えたりするなど、正しいコースマネジメントができなくなってしまいます。しかし、GPS式の距離計測器を使ってコースを上から見れば、広いエリアがどこにあるのかが一目瞭然です。しかも、そのエリアまで何ヤード打てばいいかも表示されるので、適切な番手選びもサポートしてくれます。
2.センター狙いの意識が身に付く
レーザー式の計測器はピンまでの距離を1ヤード単位で測れるというメリットがあります。しかし一方で、ピンまでちょうどの距離を打ってしまったたがために、少しショートしたり左右にぶれただけでグリーンを外してしまうリスクも高くなります。100切りのためには無理にピンを狙うのではなく、前後左右が最も広いグリーンセンターを狙っていくことが重要です。GPS式の計測器であればグリーンセンターまでの距離しか表示されないので、自然とグリーンセンターを狙っていく意識が身に付くでしょう。
ステップ3 前日の200球よりも当日朝の30球
ゴルフの前日になって練習場へ行ってみっちり練習する一夜漬けゴルファーを見かけますが、多くの場合、この練習は逆効果と言えます。100球以上も打つと体はスイングに慣れ、多少大振りしたりしてもいい当たりが出ます。しかし、翌日ティグラウンドに立ったときには体にその感覚は残っておらず、大振りのイメージだけが頭の中に残っています。このように、体と頭が一致しない状態が最もミスショットを生みやすいのです。
前日にたくさん練習するよりも、早く寝て朝早くゴルフ場へ行き、ウォーミングアップに時間を使いましょう。ゴルフ場についたら真っ先に練習場に行くのではなく、まずはパッティンググリーンやアプローチ練習場に向かいます。パターやアプローチ練習でたくさん歩くことで、長時間の運転で固まった体が少しずつほぐれていきます。その後でショットの練習を30球(1カゴ)ほど行い、あさイチのティショットに備えましょう。もちろん、たくさん練習してきた50ヤードアプローチの距離感の確認も忘れずに。これだけの準備をするためにはスタートの1時間前には到着する必要があるので、前日にたくさん練習する余裕なんてありませんね。
100切り達成のためのコースマネジメント
コースに出たらスイングのことをあれこれ考えるのではなく、それまでの練習を最大限生かすコースマネジメントを考えることに徹しましょう。考え方はシンプルで、用意したGPS式距離計測器を武器に、50ヤードのミドルアプローチをベースに組み立てていけばいいのです。その具体的な方法をご紹介していきます。
グリーン手前50ヤードから逆算
ティグラウンドに立ったらまず、距離計測器を使ってコース全体を眺め、次の2つのことを考えます。
1.グリーン手前50ヤード前後の広いエリアを確認する
2.ホールヤーデージから50ヤードマイナスして、広いエリアまでの距離の配分を考える
例えば370ヤードのホールであれば、320ヤードを2打で運ぶ最適な配分を考えます。ドライバーがある程度得意であれば、ドライバーで220ヤード、ピッチングウェッジで100ヤードがいいでしょう。苦手であれば、ユーティリティで160ヤードを2回という配分もOK。実はこの「同じクラブを2回」というのはコースでは意外と効果的です。例えば1打目で少しスライスしてしまった場合、2打目では1打目の経験を生かして少し左を狙う、といったような学習効果が期待できるためです。このように、ミドル、ロングホールのティグラウンドではグリーン手前50ヤードから逆算し、そこへ運ぶ最適なコースマネジメント(距離の配分)を考えることが重要です。
グリーンを狙うのは100ヤード以内
コースマネジメント通りにいかずに、50ヤードより長い距離が残ってしまう場合もあるでしょう。例えば、残り170ヤードから120ヤードを打とうとしてダフってしまい、残り100ヤードが残ってしまったときなどです。この場合、状況に応じて2つの選択肢が考えられます。
1.グリーン右手前と左奥にハザードがなければ直接狙ってみる
100ヤード程度であれば、ピッチングウェッジか9番アイアンで打てる距離なので、直接グリーンを狙ってみるのも手です。ただし、グリーンの右手前と左奥にバンカーやOBなどのハザードがないことが条件です。アイアンショットでは左に曲げるとオーバーしやすく、右に曲げるとショートしやすい傾向があります。そのため、リスクのあるショットを打つときはそれらの位置にハザードがないか確認し、問題がなければ直接グリーンを狙っていきましょう。
2.同じクラブを2回打つ
右手前や左奥にハザードがある場合は、やはり直接狙うことは諦め2打でグリーンを狙うことが賢明です。その時に思い出してほしいのが、先ほどお話した「同じクラブを2回打つ」ということです。例えば100ヤードであれば、得意の50ヤードを2回打ってグリーンに乗せることを考えましょう。2回同じクラブを使うことがわかっていれば1回目は練習のような気持ちで楽に打てますし、2回目は1回目の感覚が残っているので更に良いショットが期待できます。
このように、コースマネジメント通りにいかなかったとしても無理に取り返そうとせず、冷静に状況を判断して次の戦略を考えるようにしましょう。
ショートホールでは最も広いアプローチエリアに向かって打つ
ショートホールのティショットにおいても、基本的にはグリーン手前50ヤードを狙っていきたいですが、ショートホールの場合はグリーン手前50ヤード地点にフェアウェイがないことが多いです。その場合はグリーン手前だけでなく左右にも視野を広げ、「こっちへのミスはOK」と考えてグリーンを直接狙います。
例えば
・グリーンとサブグリーンの間にバンカーがなければ、「サブグリーンの方向へはミスしてもOK」
・グリーンの左サイドに深いバンカーがあれば「右サイドへはミスしてもOK」
などです。このように、グリーンよりもひと回り大きな狙いどころを定めることで、プレッシャーを小さくするとともにミスした時の残りのアプローチで乗せる確率を高めることができます。
稀に、グリーンの周りを全てバンカーが囲んでいて、広いエリアが全く見つからないホールもありますが、それであればバンカーの手前を狙っていきましょう。バンカー手前まで何ヤード打てばいいかは、計測器に表示されているので番手選びに迷うこともありませんね。グリーンを狙うよりも2~3番手短いクラブで打てるので、構えたときのプレッシャーはさらに小さくなります。
100切り達成のためのメンタルマネジメント
頭で理解したコースマネジメント通りに18ホールをラウンドするためには、自分の心の浮き沈みをなくすメンタルマネジメントも必要になります。どのような工夫をし、どのような考え方で臨めば常に安定したメンタルを維持できるのかについてご紹介していきます。
3ホールで4オーバー
100切りを目指すゴルファーであれば、次のような経験があるのではないでしょうか。
・1つのホールで大叩きしてしまい、切り替えられず次のホールでもミスをしてしまう
・自分のスコアと残りのホール数を数えてしまい、どこかでパーが必要と考えてしまう
コースマネジメントで重要なのは、スコアではなく目の前のホールの攻略方法に集中することです。しかしどうしても、終わったホールのことや先のホールのことに意識がいってしまいますよね。そういう人は、スコアカードの3ホールごとに線を入れ、「3ホールで4オーバー」という基準を意識してみてください。3ホールという区切りがあることで、仮にどこかで叩いてしまっても3ホールごとに気持ちがリセットされ、次のホールに集中し直すことができます。数えるのは全体のスコアではなく3ホールごとなので、「100切りのためにはあと〇打で上がらないと…」という焦りを生むこともなくなるでしょう。
攻める勇気より守る勇気
100切りを達成するためには「勇気」も必要です。しかし、ここでいう勇気とは残り180ヤードから果敢にウッドを持って狙うことではありません。この状況でウッドを持つということは、自分のアプローチショットに自信が持てず、次のアプローチを少しでも楽にしようという逃げの選択をした結果だと思ってください。皆さんはぜひ、自分が1番練習してきたアプローチの技術を信じましょう。アプローチに自信を持つことで、理想のコースマネジメントである50ヤード残しの130ヤードショットを選択することができます。
ゴルフにおいては攻めることが勇気ではなく、守ることが勇気であると理解できるといいですね。
ショットのミスは寛容に
ここまで、コースマネジメントに関する細かい理論や考え方をお伝えしてきましたが、一方で、ショットに対してはとことん寛容でいることが大切です。特に、ティショットやセカンドショットでのトップのミスは大きなケガにつながりにくいので、アドレスしたときに「トップしてもOK」と思うくらいで良いでしょう。そもそも、多少ミスしても良いようにコースマネジメントを考えているので、コースマネジメントを徹底することはアドレスしたときの安心感にもつながると言えます。
わかりやすく言えば、コースマネジメントに全力を注ぎショットは気楽に打てるのが上手い人、コースマネジメントを考えずショットであれこれ考えてガチガチになってしまうのが下手な人です。ぜひ、寛容さも大切にしてゴルフを楽しみながら100切りを狙っていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。100切りにために必要な練習、準備、コースマネジメント、メンタルについてより具体的にご理解いただけたかと思います。もしこれらを実践しても100が切れないようであれば、コース選びを考え直すのも1つの手です。アップダウンのある5500ヤードの短いコースより、フラットな6000ヤードのコースのほうがスコアが出やすいので、ゴルフ場のクチコミを見てなるべくアップダウンの少ないコースを選ぶと良いでしょう。コースレイアウトを公開しているコースであれば、アプローチエリアが広くとられているかどうかも確認できますね。
ぜひこれらの情報を参考にして、1年以内に念願の100切りを達成してください。