ゴルフは普段着でもプレーが可能ですが、ゴルフアパレル専業メーカーが手掛けるゴルフウェアには、ゴルフの競技性を考慮した動きやすさや機能性が備わっています。スコアアップやプレー中の快適さを求めるなら、ゴルフウェアブランドを選ぶのが賢明です。そこで、今回はゴルフウェア選びに欠かせないファッション性と機能性を兼備した、おしゃれゴルファー御用達のブランドをご紹介します。
ファッションブランドの参入で活気づくゴルフウェア業界
スポーツの中でゴルフほどファッションセンスが問われるスポーツはないでしょう。基本的なドレスコードさえ守れば、カジュアルからトラッド、アスリートまで、ゴルフウェアの着こなしは無限ともいえるほどバリエーションがあります。近年のゴルフブームにより30代~40代の若い世代のゴルファーが増えたことで、ゴルフウェアブランドはここ数年で新規参入が相次ぎ、今まで見かけなかったような、おしゃれなゴルフウェアブランドも増えています。そうしたブランドは、スポーツ業界ではなくファッション業界出身のブランドであることが多くなっています。
ゴルファーなら誰もが知っているゴルフウェアの「パーリーゲイツ」は、“ゴルフウェアはオジさんが着るもの”とされていた時代、1989年に「自分たちが着たいものがないからつくる」と、カジュアルファッションなどを手掛ける大手アパレルメーカー「サンエーインターナショナル(現TSI)」の社内で立ちあげられたものでした。彼らが手掛けた、ハレのゴルフで目立つ楽しいデザインでありながら、どこか上品さも備え、時には普段着としても着られるという、ファッション性と機能性を備えたゴルフウェアは、今日のゴルフウェアブランドのあり方に大きな影響を与えました。
また、ファッション出自のゴルフウェアブランドは、ゴルフの量販店などで販売される一般的なゴルフウェアよりも比較的生産数が少なめな傾向があり、販売価格こそやや割高ながら、その分デザイン性や機能性が追求しやすくなっています。デザイナーの個性を色濃く反映したデザインや、国内外の優れた工場による高い品質や縫製、世界中から厳選した高機能素材を採用することも可能なのです。
こうしたファッション性を重視したゴルフウェアブランドは、同伴者とカブりにくい希少性に加え、プレーヤーが着用した際の脚のラインを美しくみせるシルエットをもっていたり、同じブランドのアイテム同士ならカラーやシルエットに統一感があるため、コーディネートしやすいという利点もあります。これが、着用するプレーヤーを”おしゃれゴルファー”へ導いてくれる、そんな効果も期待できるのがおしゃれなゴルフウェアブランドなのです。
プロがゴルフウェアにこだわるのはなぜ?
ゴルフウェアを格好良く着こなす代表といえば、世界中のツアーで活躍しているツアープロたちでしょう。ツアープロが着用するゴルフウェアは、急激な温度変化や気候条件などでもプレーヤーが快適で、動きやすいように考慮された最新の素材や機能性を備えたゴルフに特化したスポーツウェアです。
また、メンタルスポーツであるゴルフでは、些細なことが結果を左右しかねません。スイング動作を妨げない可動域を広くしてくれるストレッチ性、素材が擦れても“シャカシャカ”といった不快な音がでない素材感、マーカーなどの小物類が取り出しやすいポケットのサイズや位置など、プレー中に選手が違和感を感じないよう、メーカーによってはプロからの繊細なフィードバックを生かす場合もあるほどです。
もちろん、ゴルフウェアメーカーは人気選手に自社の製品を着てもらい、活躍してもらうことで宣伝効果を期待するといったスポーツビジネス的な側面もありますが、そもそもプロは自身のプレーにプラスに働かないようなゴルフウェアを着ることはありません。そういう意味では、プロが試合で着用しているウェアというのは、ゴルフウェアとしての高いポテンシャルの証明でもあるといえるでしょう。
ゴルフウェアに求められる条件
おしゃれなゴルフウェアブランドを紹介する前に、改めてゴルフウェアに求められる機能性やデザイン性といった条件を整理しておきましょう。
1.動きやすさと着心地のよさ
ゴルフウェアはスポーツウェアである以上、ゴルフをプレーをしやすいよう考慮されています。ゴルフは肩を回し、腕を振り、全身をひねるといったスイングの動作を幾度となく繰り返しながら、アップダウンのある芝の上を一日中歩き、グリーン上では立ったり座ったりを繰り返すスポーツです。オーバーサイズのシルエットでは邪魔になり、タイトすぎては動きづらくなってしまうため、動きやすい伸縮(ストレッチ)性が求められます。
また、プレショットルーティーン(ショット前に行なう、習慣的に決めた動作や思考)に代表されるように、プロや上級者ほど、再現性を阻害する要因となるような、ちょっとした変化や違和感を感じるものです。ウェアの縫い目(シーム)が肌に触れないようなデザインや処理、着心地の良い素材感となっているウェアはプレーに好影響を与えてくれるはずです。
2.季節に合った機能性
ゴルフは自然を相手にプレーするスポーツです。朝晩と日中の気温の変化、雨や風、様々な気象条件の中でプレーヤーが快適にプレーするための機能性を備えています。例えば、一般にポロシャツの素材といえば、着心地が良いコットンが採用されていますが、ゴルフウェアブランドのポロシャツの多くは、吸湿性や速乾性、ストレッチ性にUVカット、撥水といった機能性をそなえたポリエステル素材やコットンとの混紡素材が採用されています。
春夏シーズン、汗をかいても乾きにくい素材では、身体を冷やしてしまったり、濡れた生地が肌に張り付いて動きにくく感じるなど、身体的にも心理的にもプレーヤーの集中力を奪いかねません。特に猛暑が続く近年の日本の夏ゴルフでは、普段ゴルフウェアブランドを着ない人でも、夏だけはゴルフウェアブランドのシャツを頼るという話をよく耳にします。
また、秋冬シーズン、防寒対策としてトップスに何枚も重ね着して厚着をすれば、ただでさえ寒さから身体が動きにくいのに着ぶくれして本来のスイング動作がデキなくなってしまいます。防寒用のゴルフウェアは、風などによる衣服内への外気の侵入を防ぎながら、衣服内の湿気を外に逃がすものや、人体の熱をキープする保温蓄熱タイプのもの、薄手軽量でもしっかり防寒性を備えたものなど、可動域を妨げず、インナー&アウターだけでも温かくプレーできるウェアも人気です。
3.デザイン性
日本のゴルフコースでは、原則的にプレー中は、襟付きのシャツにスラックスなどが基本とされ、トラッドスタイルを中心としたベーシックなスタイルが長年よしとされてきました。いまなお派手な色味やパターン(カモフラージュ柄など)を禁止しているコースもありますが、ゴルフのカジュアル化とともに、デザイン性やファッション性の高いゴルフウェアブランドが増え、ゴルファーは以前よりも自分らしくおしゃれを楽しめるようになりました。
近年人気なのは”アスレジャー”に代表されるように、ゴルフでも普段着としても着られる、シームレスなデザインのゴルフウェアです。以前までのゴルフウェアといえば、”目だってナンボ”とばかりにビビッドカラーやロゴの総柄デザインのようなものが人気でしたが、ここ数年、人気となっているのは黒やグレー、ネイビーやベージュといったベーシックなカラーにシンプルでリラックスして着られるボックスシルエットなデザインと機能素材を採用したタイプが人気となっています。
また、コロナ禍を経てアウトドアスポーツとしてのゴルフが若年層のゴルファーを取り込んだことやSNSの普及により、ゴルフウェアブランドはかつてないほどバリエーションが増えました。90年代の往年のゴルフのトラッドスタイルを現代的にアレンジしたものや、スケーターやストリート系ファッションの影響が色濃いものなど、以前のゴルフウェアブランドにはあまり見られなかったものも増え、デザインは多様化が進み、自分らしいコーディネートでプレーの装いが楽しめるようになっています。
かつてゴルフファッションが画一的だった時代には、ファッション好きなゴルファーは、普段着やアウトドアブランドやスポーツブランドのアイテムを組み合わせることで、おしゃれにゴルフを楽しんでいました。その頃と比べれば、現在は機能素材を採用したゴルフウェアブランドの選択肢が増えたことで、好みのスタイルでプレーしやすくなったといえるでしょう。同じゴルフウェアブランドのアイテム同士や、ベーシックカラーのデザインであれば、コーディネートがまとまりやすく、ラウンド前日にプレー当日の装いに頭を悩ませるといったこともなくなるかもしれません。
4.メンタル的な作用
ゴルフは基本的に4名でプレーするスポーツで、時には初対面の相手とプレーすることも少なくありません。そんな時、同伴者が見たことがないゴルフウェアブランドを格好良く着こなしていると、気になり会話が弾むきっかけになるかもしれません。また、ゴルフウェアのデザインは、マナーや機能面、ファッション性以外にも効果をもたらしてくれる場合があります。メンタルスポーツであるゴルフにとって、ここ一番の”勝負服”としてゲン担ぎとして、お気に入りの一着を着るといったことは、ツアープロの世界でも多く見られます。
米ツアーのレジェンドプロであるタイガー・ウッズが最終日に着る赤いシャツの「サンデーレッド」や、出身大学のカレッジカラーであるオレンジを着るリッキー・ファウラーなど、枚挙にいとまがありません。お気に入りのゴルフウェアは快適にプレーできるだけでなく、心理的にもプレーに好影響をもたらしてくれる存在でもあるのです。
おしゃれを格上げしてくれるメンズゴルフウェアブランド
1.TFW49
シンプル・高機能なモダンデザインの先駆け
日本人デザイナー橋本淳氏が手掛けるデザイナーズブランド「ジュンハシモト」が、ゴルフを中心としたアクティブなライフスタイルブランドとして2017年に立ち上げたのが「TFW49(ティーエフダブリュー フォーティーナイン)」です。それまでのゴルフウェアといえば、”フェアウェイはランウェイ”とばかり、派手なデザインやブランドのロゴを主張するものが多かった中、TFW49は、装飾的なデザインを嫌ったミニマルなデザインとモノトーン基調にビビッドな挿し色、高機能素材をあわせたモダンな出で立ちで、おしゃれなゴルファーの間で瞬く間に支持を獲得しました。
一見シンプルで誰もが着やすいと思わせるデザインながら、襟の形状や、脱いだジャケットの裏地やシューズの踵の一部にのみビビッドな挿し色を入れるといった、随所にデザイナーズ出自の色気や遊び心のある稀有なセンスは、後の新興ゴルフウェアブランドに大きな影響をあたえました。片岡尚之プロ、澁澤 莉絵留プロら、国内男女ツアープロのサポートもスタートさせるなど、新興のゴルフウェアブランドの中では、近年、最も人気の高いブランドの一つといえるでしょう。
注目アイテム! LS BRUSHED HOODIE
ハイテクのニット素材とビビッドなカラーがTFW49らしいパーカーです。タートルネックのような立体的なフードは被るのはもちろん、通常でもネックウォーマーのように首元を温めてくれます。サイドのメッシュ素材とした切り返しや、スイング動作を妨げないラグランスリーブなど流石の機能性。アウターとしてもインナーとしても活躍してくれるアイテムです。
2.MARK&LONA
ラグジュアリーゴルフウェアのナンバー1ブランド
スカルのモチーフやカモフラージュ柄といった押し出しの強いデザインながら、上質な素材感や機能性に徹底的にこだわった日本発のラグジュアリーゴルフウェアの筆頭ともいえるブランドです。彼らの手にかかれば、ゴルフボールやパターマットもブラックに染まり、シャドーなスカル柄とカモフラージュ柄に彩られたウェアには、「GOLF OR DIE(ゴルフするか死ぬか)」のメッセージが刻まれます。ウエアからアクセサリー、キャディバッグやシューズまで世界観をトータルに展開している他、レディス展開もあるためパートナーとのリンクコーデが楽しめる点も魅力です。
元々は2008年にアメリカ・ロサンゼルスでスタートしたゴルフウェアブランドであり、早くから海外を見据えたブランド戦略を展開。トラッドかスポーティという従前のゴルフウェアブランドの枠を飛び越えた尖がったデザイン性はもちろん、俳優・タレントとして活躍する木村拓哉氏をアンバサダーに迎えるなど、従来のゴルフウェアブランドとは一線を画す広告展開なども話題となってきました。契約するプロゴルファーも、金田久美子プロ、永井花奈プロ、今年国内女子ツアーを引退したイ・ボミプロら、美形の女子プロが並びます。
注目アイテム! Massive Boa Fleece Jacket
近年、防寒アイテムとして定番的な人気を集めるボアフリースも、マーク&ロナにかかれば存在感たっぷりなアイテムに。王道のモノトーンカラーのボアフリースにスカルカモフラージュ柄をジャカードでインストールしたデザインは圧巻。ファスナーの引手に立体プリントの合皮をあしらうなど、ディテールまでこだわりが感じられるデザインです。裏地には光電子繊維のメッシュ素材を採用し、人体から出る遠赤外線を活用して直接人体を保温するなど、見た目だけでないのもさすが。同素材のパンツと合わせたセットアップでの着こなしなら目立つこと間違いなし。
3.G/FORE
上質グローブから始まった洒脱なセンス
アメリカ西海岸、ロサンジェルス発のブランド「G/FORE(ジーフォア)」。創業者であるモッシーモ・ジャンヌリ氏は、80年代にサーフブランド「モッシーモ」を創設し、成功をおさめたことでも知られる人物です。2011年、それまでになかった、好発色のプレミアムなレザー製ゴルフグローブのコレクションを発表すると、瞬く間にゴルファーの間で話題を呼び、現在ではゴルフウェアからシューズまで展開する人気ゴルフウェアブランドとなりました。
モッシーモ氏はカラーグローブの存在を「ジャケットに挿すチーフのようなもの」に例えます。それまでグローブといえば黒か白ばかりだった中、G/FOREは赤やオレンジ、サックスブルーなどビビッドなカラーグローブをコーディネートの挿し色とすることを提案。以後ゴルファーのおしゃれのテクニックの一つとなりました。ゴルフウェアやゴルフシューズもこうした理念を継承しています。デザインは一見クラシックやベーシックで使いやすいですが、アウトソールの裏側がビビッドカラーを採用するなど他にはないセンスがこのブランドの持ち味。以前まではインポートアイテムに強いセレクトショップなどで購入するのみでしたが、近年、日本にも代理店ができ、商品が買いやすくなったのも支持を集めることになった理由でしょう。
注目アイテム! MENS COLLECTION GLOVE(LEFT)
ジーフォアを代表するアイテムといえば創業以来の伝統であるカラーグローブです。高級羊革として知られるカブレッタレザーで作られたゴルフグローブは、優れた快適性とグリップでベストなスイングを可能にするとともに、ゴルフのおしゃれの最高のアクセントとなってくれる存在です。ゴルフギアメーカー製のグローブと異なり、手にするゴルフクラブや合わせるゴルフウェアを選ばない点もメリットといえるでしょう。
4.1PIU1UGUALE3 GOLF
イタリアの伊達が息づく日本発のラグスポブランド
「1PIU1UGUALE3(ウノピゥウノウグァーレトレ)」は、ファッションブランド「AKM」のデザイナー小澤智弘氏のプライベートブランドとして2013年にスタートしたラグジュアリーな世界観をもつブランドです。印象的なそのブランド名は、イタリア語で「1+1=3」を意味し、ふたりが力をあわせれば3人分になる、ということわざからきています。スポーティでカジュアルなアイテムに世界中から選りすぐった最高級の素材を使用、ラグジュアリーなスポーツウェアを意味する「ラグスポ」の代表格として、メンズ誌やラグジュアリー誌などのメディアでとりあげられ認知度をアップ。その後展開したゴルフラインで富裕層のゴルファーから人気となり、今にいたります。
折り鶴をモチーフとしたワンポイントとモノトーン基調のデザインは、シンプルモダンとスポーティを基本としながら、上質な素材感やラインストーン使用など、ディテールの巧みな演出が冴えわたります。テーラーリングに定評があり、仕立ての良いジャケットや立体的で動きやすく、ボディラインを美しくみせるシルエットも得意とするブランドです。特に注力しているゴルフウェアは、着用するゴルファーすべてに高揚感と優越感をもたらしてくれる存在です。ファッションエディターやブランドディレクターとして活躍する戸賀敬城氏やサッカー界のレジェンド、ファンタジスタのデル・ピエロ氏ら、ファッションセレブとコラボレーションしたアイテムにも注目です。
注目アイテム! 113 ADP GOLF L/S MOCK NECK BACK LINE
23年春夏シーズンからスタートした新コレクションは、”伝説のストライカー、最高峰のファンタジスタ「デル・ピ エロ」とのコラボレーション。日差しのある日中なら、これ一枚でもプレーできる防寒性を高めたモックネックシャツは、左袖のみ切り返しのアシンメトリーなデザインが秀逸。
5.ZERO HALLIBURTON
人気ラゲージブランドの信頼性と機能性
母体は、1938 年アメリカで創業したプレミアムなラゲージブランド。代名詞であるシルバーのアタッシェケースは、NASAのアポロ11号とともに月に行き、月の砂と石を持ち帰ったことでも知られ、現在は日本の老舗鞄メーカーである「エース」傘下のブランドとなっています。そのゴルフラインである「ゼロハリバートン ゴルフコレクション」は、2022年3月に正式に日本国内でローンチ。お家芸であるラゲージブランドならではのキャディバッグをはじめとしたバッグ類だけでなく、世界観を共有するゴルフウェアとの同時展開も話題となりました。
バッグ類から受け継いだ機能的でシンプルなデザインに加え、看板商品であるスーツケースやアタッシュケースの補強のために施された「ダブルリブ」と呼ばれるプレス加工を模した二本線をアイコンとして採用するなど、モノづくりの伝統と程良くトレンドを採り入れたバランス感が絶妙です。高機能素材と知られる「SOLOTEX(ソロテックス)」や「Cordura(コーデュラ)」の採用など、新興のブランドながら上質な素材を使用した機能性の高さも特徴です。「ユナイテッドアローズ ゴルフ」とのコラボレーションも好評です。
注目アイテム! ZERO HALLIBURTON × UNITED ARROWS GOLF ZHG-CB1 | Stand Caddie Bag 82611
ゼロハリバートンゴルフコレクションの人気バッグシリーズ「Cordura Series」をベースに、ユナイテッドアローズが提案する上品で洗練されたデザインやトレンド感のあるスタイルを融合させたキャディバッグです。ユナイテッドアローズのコラボレーションアイテムに多く見られるホワイトカラーとネイビーが印象的なスタンド式のキャディバッグは、ブランドロゴを前面に配した大胆なデザインながら、飽きの来ないシンプルさと上質さを備え、国内外の名門コースでも馴染む逸品です。
6.PXG
ゴルフクラブと共通の哲学をもつ稀有な存在感
アメリカの資本家であるボブ・パーソンズ氏が自身が理想とするゴルフクラブを追求することを目的に立ち上げたアメリカ・アリゾナ州に本社を構える「PXG(ピーエックスジー)」。契約プロにはメジャー大会覇者のザック・ジョンソンをはじめ、米国男子、女子ツアーの人気選手が名を連ねます。開発コストや一般的な製品販売サイクルに捕らわれず、良い商品をつくることをモットーにしたゴルフクラブは、アメリカでは珍しい、クラブフィッティングを基本としたカスタムによるヘッドパーツブランドとしても知られています。製品名は創業者であるボブ氏がかつて所属していたアメリカ軍の部隊名やアメリカ空軍の名機などから付けられています。
ゴルフクラブに続きリリースされたゴルフアパレルは、同社のゴルフクラブと同様、ブラックとシルバー(グレー)などのモノトーン基調で、グラデーションなど緻密なグラフィックが目をひく印象的なデザインです。機能性を追求するゴルフクラブ同様、吸汗速乾など機能性が重視されており、ゴルフクラブの使用プロの中には、同社のゴルフウェアまで着用するプレーヤーが少なくありません。日本国内では公式ウェブサイトなど、限られた場所でしか購入することができない半面、他のプレーヤーとカブらない希少性の高さも魅力といえるかもしれません。
注目アイテム! フェアウェイカモ ベンテッド 1/4ジッププルオーバー
吸湿性に優れた4wayストレッチ生地を使用したハーフジップの、プルオーバーです。デザインはよく見るとコースの俯瞰図をカモフラージュ柄として落としこんだ、独自のフェアウェイカモ柄。裏地はメッシュ、背面にもベンチレーションを備えたことで、防寒性や吸湿性、ストレッチ性に備え、機能的かつ着回しやすい一枚です。
7.DOCUS
アパレルへの注力は地クラブメーカー随一
「DOCUS(ドゥーカス)」はゴルフクラブメーカーである「HARAKEN(ハラケン)」が展開するいわゆる”地クラブ(地方のゴルフクラブメーカーが、ゴルフ工房などへ展開するヘッドパーツブランド)ブランドです。ただし、彼らが同種のメーカーと一線を画しているのがゴルフウェアへの注力です。2012年のブランド立ち上げから4年後の2016年にスタートしたゴルフウエアライン「ドゥーカスデザイン」は、今季2023年秋冬コレクションではメンズレディスあわせ30弱のアイテムを展開しています。これは、ヘッドパーツメーカーとしては間違いなく随一です。
しかもこれらはゴルフクラブと同様に創業者自らがデザインしているのが特徴で、ゴルフクラブからゴルフウェアまで統一したデザイン哲学が貫かれている点も特筆すべきでしょう。比較的セットアップアイテムが多く、コーディネートしやすいのもおしゃれに苦手意識のあるゴルファーには心強い存在となってくれるはずです。素材にポリエステルを使用した機能性の高さも特徴ですが、上質なカシミヤやニット素材など、シンプルで着まわしやすいデザインに加え、大人っぽい色使いや上質な素材感をアクセントとしている点も見逃せません。同社のゴルフクラブを使用するユーザー以外でも着てみたいと思えるクオリティといえるでしょう。
注目アイテム! DCM23A003 DD Warm Pants
厚めの素材感と起毛した裏地があたたかいジャージー素材の防寒パンツです。腰回りはゆったり、裾に向けて絶妙にテーパードした美脚なシルエットと、上品な立ち姿を演出してくれるセンタークリースのデザインが秀逸。リラックス感のある履き心地ながら、ラフにみえすぎない見た目で、着まわしやすいのも魅力といえるでしょう。同デザインのトップスとあわせたセットアップ着こなしがおススメです。
8.BRIEFING
ナイロン製ビジネスバッグの雄が開拓した新境地
米軍に供給される、いわゆる”ミルスペック”に準拠した「バリスティックナイロン」や「コーデュラナイロン」を採用したバッグとしてスタートし、日本のビジネスバッグにナイロンバッグを浸透させた立役者といえる「BRIEFING(ブリーフィング)」。その機能性を追求した哲学をそのまま受け継いだキャディバッグは発売当初から売り切れが続出するなど、ゴルファーから高く評価されました。ゴルフウェアラインは、そのブランド哲学やミリタリーな世界観を見事に昇華、異業種から参入したゴルフウェアとしては、近年最も支持を集めたブランドといって間違いありません。近年のラゲッジメーカーのゴルフ市場への相次ぐ進出は、ブリーフィングの成功なくしてなかったでしょう。
ブラックやカーキ、ネイビーやグレーといったミリタリーを思わせる無骨なカラーリングとシンプルなデザイン、吸汗速乾性など機能性をこれでもかと盛り込んだ素材はブランドのアイデンティティ。何よりゴルフバッグからシューズケース、ポーチ類といったウェアからアクセサリーまで統一感ある提案は、このブランドの強味といえます。本家のバッグ同様、コラボレーションにも積極的で、今季はトレッキングシューズの「ダナー」や「ブリヂストンゴルフ」とコラボレーションしたシューズ類も注目されています。
BRIEFING × mocT MENS WR WIDE PANTS
1970年代に日本で初めて杢糸を製造したリーディングカンパニー「新内外綿」のプロダクトブランド「moc T」とBRIEFINGによるカプセルコレクションのアイテムです。ゴルフでも着られるデイリーウェアをテーマに試行錯誤を繰り返し完成したパンツは、ラウンドはもちろんゴルフ場の行帰り、ラウンドの後の遊びや食事などにそのまま行ける万能アイテム。ゴルフにつきものの立ったり座ったりが容易な動きやすさはもちろん、ワイドテーパードなモダンなシルエット、撥水加工を施したちょっとした雨にも耐えられる対候性も魅力です。
BRIEFING 公式サイト
まとめ
従来のゴルフウェアブランドとは異なる歴史や背景を持ったブランドを中心にご紹介した今回。それぞれに共通するのは、ゴルフウェアをハレの日のスポーツウェアとしてのみ捉えるのではなく、普段着の延長線にあるデザイン性と高い機能性を重視する姿勢です。スポーツが快適なウェアはデイリーウェアとして着ても快適なはずです。SNSが発達し、ファッショントレンドが多様化した今、本当に着心地が良くて、おしゃれなゴルフウェアは、必要なもの以外を削ぎ落したゴルフウェアの本質を示しているのかもしれません。
それでも、ベーシックなゴルフウェアに一点採り入れるG/FOREのレザー製のカラーグローブが、コーディネート全体を引き締めるように、装飾的なファッションアイテムやゴルフウェアは、時にプレーヤーのモチベーションや同伴者からの評価を挙げる特別なアイテムにもなってくれます。ゴルフほどファッションセンスが問われるスポーツはありませんが、ゴルフほどファッションの恩恵があるスポーツも他にありません。紹介したブランドのゴルフウェアを着て、ぜひゴルフのおしゃれを楽しみましょう。