さぁ思いっきり飛ばすぞ!このように打ったボールは高く上がって50ヤード先にポトリ。こんな経験ありませんか?俗にいうテンプラです。せっかく意気込んで打ったボールがテンプラになるとガッカリしますよね。シャンクと同様テンプラも1度出ると何度も出る厄介なミスショット。テンプラさえ出なければ、もっとゴルフを楽しめると考えている人も多いはずです。
今回はそんなテンプラが出る原因と治し方についてティーチングプロの筆者がお伝えしていきます。
ゴルフのテンプラとは
ゴルフのテンプラとはフェースの上に当たり空高くに上がっていくミスショットです。フェースが開いて単純にボールが高く上がるショットとは違い、ボールがフェースの半分、もしくはそれ以下しか当たらない為、飛距離も全然出ないのが特徴です。
テンプラという呼び方は和食の「天ぷら」から来ています。天ぷらが揚がるのとボールが上がることを掛けてテンプラと呼ばれています。
テンプラはなぜ起こるのか
テンプラはフェースの上にボールが当たることによって出るミスショットです。初心者の中にはフェースが開きすぎていると思っている人もいますが、全く違うので覚えておきましょう。テンプラが出る原因はいくつかあります。
①ティーが高すぎる
②ボールの位置が中央すぎる
③軸が左に動きすぎている
④体の開きが早すぎる
⑤ボールに当てに行き過ぎている
主にこの5つです。1つずつ説明していきます。
1. ティーが高すぎる
テンプラが出た時にまず確認してもらいたのがティーの高さです。テンプラが出たら多くの人はスイングが間違っていると思うのですが、単純にティーの高さが違っていただけということがよくあります。ティーの高さが違うだけなのに、そのことに気づかずにスイングを変えると色々な不具合が出てくるので注意して下さい。ティーアップする時に高すぎるとテンプラが出やすいです。同じスイングをした場合ティーの高さによって打点は変わってきます。ティーが低ければフェースの下に当たりますし、ティーが高ければフェースの上に当たります。
正しいティーの高さは、ドライバーの場合ボールがフェースから3分の1程度出る高さです。この高さにティーアップすることで自然なアッパーブローで打つことができます。この高さよりティーが高くないか確認しておきましょう。
2.ボールの位置が中央すぎる
ティーの高さが合っているのにテンプラが出る場合はボールの位置が間違っているのかもしれません。この場合も先ほどのティーの高さが間違っているだけの時と同様です。スイングは間違えていないのにスイングを変えようとすると余計にミスショットが出るので注意しましょう。ドライバーの正しいボールの位置は左踵延長線上です。この位置にボールがあれば最下点の後でボールを捉えることができます。しかしこの位置より体の中央に寄れば寄るほど上から打ち込む形となりテンプラが出やすくなります。
3.軸が左に動きすぎている
先ほどの2つは打つ前の準備でした。ここからお伝えする3つのことはスイング中の動きです。テンプラが出るのは打ち込みすぎているからです。いわゆるダウンブローになった時にフェースの上に当たってテンプラになるのです。打ち込んだ時にテンプラが出るので打ち込むのを治せればテンプラが出なくなります。
酷い人になると打ち込むのに加えてフェースが左を向きます。こうなると更にテンプラになる確率は上がります。この場合テンプラにならなくても大きく左に曲がるミスショットになるのが特徴です。
打ち込む原因はいくつかありますが軸が左に動くことで打ち込むことはよくあります。ティーの高さとボールの位置が適正であってもダウンスイングで軸が左に動くことで手元が目標方向に出るハンドファーストの形となり最下点の手前で打つことになります。この形になるとフェースの上に当たりやすくなるのでテンプラで悩むことになります。このように軸が左に動いて、インパクトする人は仮にテンプラにならず芯で捉えられたとしても、弾道が低くなるのが特徴です。
4.体の開きが早すぎる
ダウンスイングで体が開きすぎる人もテンプラで悩む場合があります。体(特に肩)が開くとアウトサイドインの軌道となります。体が開くと体の正面がボールより左を向きます。この状態でクラブを振ると目標に対してアウトサイドインとなりダウンブローで打ち込む形となります。このように体が開きアウトサイドインの軌道で打つ人はスライスになりやすくスピン量が多めで距離が出なくて悩むことが多いです。スライスを嫌がってフェースを被せると低いボールで左から左に引っかけるミスになります。
5.ボールに当てに行き過ぎている
インパクトでボールに当てに行く人もテンプラが出る可能性があります。インパクトで当てに行くとは力が入り打ち込む様な人です。力が入り手元が目標方向に動くとダウンブローになるのでテンプラになります。腕に力が入るとコネてインパクトで合わせるのでフェースも返りやすくなり、フェースが返り過ぎるとボールの下に入り込むので注意しましょう。
練習ドリル
テンプラにならないように練習ドリルを紹介します。テンプラを無くすには緩やかな入射角にすることが大切です。そのためにおすすめなのがティーアップしたボールをフェアウェイウッドで打つ練習です。通常通りにティーアップするのではなくドライバーと同じくらいの高めのティーアップをして打ちます。このままボールだけをクリーンに打つ練習をすれば入射角が緩やかになります。打ち込み過ぎるとテンプラになるし、仮に当たったとしても最下点の手前で打つことになって弾道が低くなります。アッパー軌道で打っても打点は安定せずティーも一緒に打つはずです。仮にティーを打たなくてもスピン量の多い高い弾道になるため自分で気付くことができます。高めにティーアップしたボールを適正な高さで飛ばせるようにしましょう。
コースでテンプラが出た時の対処法
コースでテンプラが出た時の対処法を紹介していきます。コースでテンプラが出たときに1番気を付けて貰いたいのがティーの高さです。特に最近は長さを自分で調節できないティーを使っている人が多くいます。有名なのがエアロティーでゴムが付いているので最後まで指すだけで毎回同じ高さにできる物です。最適な高さになっていれば問題ないのですが高すぎると当然テンプラになります。このティーの最大のデメリットは低くできない事です。できれば普通の木やプラスチックで出来たティーも持っておくと良いでしょう。
ティーが適正な高さなのにテンプラが出る場合は少し低めにティーアップしてクラブを短く握りコンパクトなスイングを心がけてください。頭が常に高い位置にある意識で振ればテンプラを防ぐことができます。通常に比べボールが左に行きにくくなり、飛距離が少し落ちるので覚えておきましょう。
テンプラ傷がついてしまったら
テンプラをするとフェース上部(クラウン)に傷が付きます。傷が気にならないのであれば問題ないでしょう。しかし傷を消したいと思う人も多いと思います。このような傷は工房に持っていくと対応してくれます。工房なんて知らないという人は大手のゴルフショップに行ってみましょう。大手のゴルフショップでは工房が付いている場合も多く、付いていれば対応してくれるはずです。自分で直す場合は同じ色の塗料を塗るのが良いでしょう。
しかし全く同じ塗料を探すのは難しいと思うので工房に頼んだ方が間違いありません。耐水ペーパーで擦ってからコンパウンドで磨く方法もありますが、塗料を削ってからコンパウンドで磨き上げるため難しいと感じる人が多いはずです。失敗したくないのであれば多少お金が掛かったとしても工房に頼むのが良いと思います。
テンプラ傷の修復法、予防法など
1.テンプラ傷防止テープ
テンプラ傷の予防はできるのでしょうか?答えはできます。テンプラ傷ができないように専用のテープが売っているので調べてみましょう。基本的にはセロハンテープのような物と言えば分かりやすいと思います。セロハンテープでは剥がした時に糊が残りますが、専用のテープでは糊が残らず綺麗に剥がれるようになっています。せっかく新品のクラブを買ったのに数回打ったらテンプラ傷がついてガッカリした経験のある人や、良くテンプラする人にはおすすめできます。
2.鉛を貼る
他にもテンプラを予防する方法はあります。それはクラブのソールの後ろ側(フェースから遠い場所)に鉛を貼る方法です。ソールの後ろに鉛を貼って重くすることで重心深度を深くすることができます。重心深度が深くなればフェースは上を向こうとするのでスイング軌道が緩やかになってテンプラしづらくなります。ダウンブローで打ち込み過ぎる人はまず鉛を貼ってアッパーで振る感覚を覚えて、慣れてきたら鉛を剥がすのがおすすめです。
まとめ
今回はテンプラについてお伝えしていきました。テンプラは1度出ると連発して出る厄介なミスショットです。テンプラが出る原因はいくつかありますが大きく分けると打つ前の準備とスイング中の動きです。打つ前の準備としてティーアップした時の高さとボールの位置が適正になっているか確認しましょう。スイングでは色々な要素でテンプラになるのですが、特にダウンブローに鋭角的に入るとフェースの上に当たりテンプラとなります。ダウンブローに入る原因はいろいろありますが、まずは今回お伝えした5つのことができているか確認しましょう。テンプラが出なくなればその分スコアアップするので頑張りましょう。