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30ヤード以内のアプローチで信頼できるクラブとして人気のチッパー。グリーン周りで右往左往することもなく、ミスに強いことから「ずるい」ともいわれるほどの確実性に魅力があります。アプローチが苦手な方にとっては頼りになるクラブですが、チッパーそのものを知らないゴルファーも多いようです。そこで今回はチッパーの特性や魅力、選び方や打ち方などの紹介と、ゴルファーに人気のチッパー10選を紹介します。
チッパーってどんなクラブ?
チッパーは、アプローチを主体とするアイアンのことです。名称の「チッパー」は、チップショットから付けたといわれていて、当初はコックを使わず手首を固めて、肩を回転させるスイングでアプローチショットができるアイアンタイプが一般的でした。その後、芝に打ち込むザックリを防げるパッティングスタイルが主流となり、ソール幅の広いパタータイプに移行していきます。現在はコースレイアウトの変化、特にグリーン周りをガードするバンカーや、うねってラインが読みにくいグリーン面にも対応できることから、ダフらないアイアンタイプのチッパーが主流となってきているようです。
チッパーの使い方・打ち方
チッパーは、主にグリーン周りからのアプローチに使うクラブです。キャリーよりもランが長く、ロフト角35度のチッパーであればキャリー1対ラン3が目安となります。20ヤード先にピンがあれば5ヤード地点を狙い、その後のランで15ヤード転がすことになります。もちろん実際のグリーンは傾斜や芝目によって速度が違いランの距離も変わります。チッパー自体は初心者でも簡単に使えますが、実践で使うには距離感を読むことが必要です。打ち方は、パタータイプであれば振り子をイメージしたペンデュラムタイプのストローク、ウェッジタイプであれば払い打ちのスイープショット、深い芝かだとフォロースルーをとらないダウンブローがあります。
チッパーの種類
パタータイプ
アイアンタイプ
チッパーは、ヘッド形状の違いでパタータイプとアイアンタイプの2種類があります。チップショットを主体とすることから、ボールを転がしてピンに近づけるための道具として、確実性の高いのがパタータイプです。一方でアイアンタイプは、チッパー特有の広いソールを活かしてグリーン周りの深いラフからでも打ち抜ける特性を有しています。距離感に影響を与えるロフト角は、一般的に10度刻みに35度・45度・55度前後で設定されています。1本を選ぶときには、35度が8番アイアン相当、45度はピンチングウェッジ相当、55度はアプローチウェッジ相当なので、それぞれの距離感を参考にすると選びやすいかもしれません。
チッパーを使う魅力やメリット
チッパーの魅力はソール幅の広さにあります。ソールが広ければ、ボールの手前に打ち込んでも、芝の上を滑るのでザックリを防ぐことができます。またザックリを恐れて起こるホームランも防げるのではないでしょうか。チッパーのメリットは、安定した方向性と転がすアプローチです。パッティングのようなストロークをすれば、ターゲットに向けてヘッドを出せることから方向性は安定します。打ち出すボールはキャリーよりもランが長いので、そのままカップインする可能性の高さがチッパー最大のメリットといえるかもしれません。
チッパーのデメリットは?
チッパーのデメリットは、着弾点までの距離と転がる距離の比率が合わないと使えないことです。たとえばロフト角45度のチッパーは、キャリー1に対してラン2なので15ヤード先を狙うのであれば5ヤード先を着弾点、10ヤードのランでカップインということになります。ところが同じ15ヤードでバンカー越えのケースでは、着弾点を10ヤード先するとランは20ヤードになるため距離が合わず使えません。もっともバンカーに入らず1度もサンドウェッジを使わないときや、ティーショットでユーティリティを選択してドライバーを使わないこともあるので、1ラウンドで数回チップインを狙える機会があれば十分という考えもありではないでしょうか。
チッパーの選び方
1.ヘッドの形で選ぶ
チッパーを選ぶとき、まずは「信頼のおける顔」のヘッドから選びましょう。チッパーのヘッドは、大きく分けてパタータイプとアイアンタイプの2つがあります。パッティングと同様にストロークをすることで、ミスをなくし確実にカップを狙えるのがパタータイプのチッパーです。一方で、深いラフからのショットやバンカー越えからのアプローチなどにも対応できるのがアイアンタイプのチッパーです。ほかにもアイアンタイプでは、アゴの低いバンカーや林のようなところからの脱出など、アプローチ以外でも使える用途の広さにも注目すると良いかもしれません。
2.ロフト角で選ぶ
チッパーに限らずゴルフクラブを選ぶときは、ロフト角を確認することがとても重要です。ロフト角とは、地面とフェースとの角度を表したフェースの斜度のことで、ロフト角が大きいほど打ち出したボールは高く上がり飛距離は短くなります。チッパーは転がすことを主としたチップショットのためのクラブなので、同じ距離でグリーンオンを狙うウェッジと比較すると、ロフト角の小さいタイプが人気となっています。主たるラウンドコースで、グリーンが大きくて転がす距離が長ければロフト角の小さなタイプ、2グリーンのような小さなグリーンであればロフト角の大きなタイプ、使う状況を想定して必要なタイプを選ぶようにしましょう。
3.ライ角で選ぶ
チッパーを選ぶ上で、ライ角選びはもっとも重要なポイントです。ライ角は地面とシャフト軸との角度を表したシャフトの傾きのことで、ライ角が大きいほどシャフトは垂直に近づきます。アドレスで大きな前傾姿勢をとるのであれば、シャフトは垂直に近づくのでライ角の大きなタイプを選び、前傾姿勢を浅くとるのであればライ角の小さなタイプを選ぶと構えやすいはずです。また前傾姿勢の深い構え方だとシャフトの傾斜角度が小さくなるので大きなライ角で短めのシャフト、前傾姿勢の浅い構えだとシャフトが斜めになるので小さなライ角で長めのシャフトを選ぶとよいでしょう。
4.まずは低価格なもので選んでみる
チッパーを使ったことがなければ、まずはコースで使用したときの効果や頻度を確かめてみることから始めましょう。確かめるために用意したチッパーが合わなければ、そのまま使い続けることはないかもしれません。まずは低価格タイプを選んで、自分のプレースタイルに合うのかを確かめてみることをおすすめします。チッパーの特性が理解でき相性の良さが感じられ、さらに使用しているチッパーの性能や個体差が気になってきたら、価格を気にせずにお気に入りの1本を選ぶとよいのではないでしょうか。
チッパーはずるい?ルール違反?
「チッパーはずるい」といわれるほどの確実な結果にルール違反を気にする人もいるようです。チッパーそのものは、ゴルフ規則で「グリーンを少し外れた所から使われるようにデザインされたアイアン」と認められているクラブです。ただしルールに適合しない仕様はもちろん違反、ヒール側にシャフトが接続されていること、グリップが円形であること、両面打ちができないことなどが要件となっています。フェースの溝が最新の規定をクリアしていること、頂部が平面なパターグリップやロングパターのようにシャフトにもう1つグリップを装着すると違反、またヘッド形状がフェース側の両端より奥行きが長いと違反なので選ぶときに注意が必要です。
最強のチッパーはどれ?人気チッパーおすすめ10選
1. LYNX(リンクス) YS-ONE チッパー TYPE S
カラーからでもラフからでも攻められるチッパー
リンクスのYS-ONE TYPE Sは、L型パターとほぼ同じ形状、ライ角もL型パターとほぼ同じ71度なのでパターの構え方でアドレスします。また打ち方もパッティングスタイルにすることで安定したアプローチとなります。ヘッドの抜けを良くするために、リーディングエッジからソール後方まで逆三角形にトライアングルカットすることで、芝の抵抗を減少させてヘッドの抜けをよくしています。グリーン周りで短く刈り込んだ芝からはパター感覚、ラフからは抵抗の少ないコンパクトなヘッドでしっかりボールをとらえたアプローチが可能です。
YS-ONE TYPE Sの口コミ
YS-ONE TYPE Sの仕様・製品情報
メーカー名 | LYNX(リンクス) |
商品名 | YS-ONE TYPE S |
ロフト角 | 39° |
ライ角 | 71° |
長さ(インチ) | 34.75インチ |
参考価格 | 13,200円(メーカー価格) |
2.SPALDING(スポルディング) CHIPPER SPC-P45
見た目はウェッジで打ち方はパターのチッパー
スポルティングのCHIPPER SPC-P45は、形状がアイアンでも打ち方はパターをイメージして、ターゲットに向けて真っ直ぐヘッドを出すようにストロークすれば方向性が安定する扱いやすいチッパーです。そのストロークを安定させるために、ソールの中心部にネジ式のウエイトを装着していることで慣性モーメントの高い低重心設計なので、自然にストロークをすればミスなくピンそばを狙うことができます。ロフト角は45度のSPC-P45のほか、キャリーは長くてランが短くなるロフト角50度のSPC-P50も選べます。
SPC-P45の仕様・製品情報
メーカー名 | SPALDING(スポルディング) |
商品名 | SPC-P45 |
ロフト角 | 45° |
ライ角 | 72° |
長さ(インチ) | 34インチ |
参考価格 | 13,200円(メーカー価格) |
3.Cleveland (クリーブランド)スマートソール4 TYPE-C
バンスを使ったアプローチができるチッパー
クリーブランドのチッパースマートソール4 TYPE-Cは、ソール幅が35㎜のまさにスマートな形状のチッパーです。シリーズにはロフト角42度のTYPE-Cのほかに、ロフト角50度でソール幅34mmのバックフェースがコロンと膨らんでいるTYPE-G、ロフト角58度でソール幅38㎜の3モデルがあります。フェースの刃となるリーディングエッジを大胆に削ったことでザックリを防ぎ、簡単にバンスを活かしてソールを滑らせて打てるようになります。ヘッドデザインはキャビティタイプのアイアン、見た目もスマートなチッパーといえるでしょう。
スマートソール4 TYPE-Cの口コミ
スマートソール4 TYPE-Cの仕様・製品情報
メーカー名 | Cleveland Golf(クリーブランド ゴルフ) |
商品名 | スマートソール 4 TYPE-C |
ロフト角 | 42° |
ライ角 | 66° |
長さ(インチ) | 34インチ |
参考価格 | 14,300円(メーカー価格) |
4. MIZUNO(ミズノ) SURE DD CP(チッパー) 33/CP 34
ピンから30ヤード以内はパッティング感覚
国産クラブメーカーミズノとゴルフ量販店ゴルフパートナーが共同開発したのがSUREシリーズ、グリーン外からセカンドパター感覚でピンが狙えるアプローチギアとして開発したのがSURE DD CPです。ヘッドはマレットタイプのパターに近い形状で、ヘッドの重さを利用して安定感のあるストロークが期待できます。さらにグリップは太さと柔らかさを兼ね備えたパターグリップを彷彿とさせる感覚が人気。芝を掻き分け抵抗の少ないべべルソールでスムーズにヘッドを振り抜くことができます。
SURE DD CPの口コミ
SURE DD CPの仕様・製品情報
メーカー名 | MIZUNO(ミズノ) |
商品名 | SURE DD CP33/CP34 |
ロフト角 | 33°/ 34° |
ライ角 | 70° |
長さ(インチ) | 33インチ / 34インチ |
参考価格 | 13,800円(メーカー価格) |
5.キャスコ ドルフィン ピッチ&ランウェッジ DRW-119
チッパーとウェッジをいいとこ取りしたアプローチ用クラブ
キャスコのDRW-119は、ドルフィンのピッチ&ランウェッジとして発表されているクラブです。100切りを目指すゴルファーを想定して、アプローチでソールが抜けるように芝の上を滑らせザックリミスをなくせるように、ソール幅を広くした造りになっています。特に20ヤード以内から確実に寄せられるよう、距離感や方向性がつけやすいパッティングストロークで扱えるモデルですが、外観はアイアンタイプなのでチッパーを使っているように見えません。性能はチッパーで形状はアイアンという、いいとこ取りしたチッパーといえるでしょう。
ドルフィン ピッチ&ランウェッジ DRW-119の口コミ
ドルフィン ピッチ&ランウェッジ DRW-119の仕様・製品情報
メーカー名 | Kasco(キャスコ) |
商品名 | ドルフィン ピッチ&ランウェッジ DRW-119 |
ロフト角 | 39° |
ライ角 | 67° |
長さ(インチ) | 34インチ |
参考価格 | 19,800円(メーカー価格) |
6. PRGR(プロギア) R-35WEDGE
少しの練習でも結果が得られるパタータイプのチッパー
プロギアのR-35は、ブレード頂部のホワイトラインや、ソールだけが後方に広がり丸い形状に見えることから、パターといっても過言ではないほどパターに見えるチッパーです。同シリーズのR-45はアイアンタイプ、R-55はウェッジタイプですが、キャリー1対ラン3と転がる距離の長さで、パター打ちが想定されるR-35は、パタータイプのモデルとなっています。グリップはルール適合の形状でありながらも、パターグリップのような太いタイプ、振り幅で距離を調整できることから、少しの練習でも実践で使うことができるチッパーといえるでしょう。
R-35WEDGEの口コミ
R-35WEDGEの仕様・製品情報
メーカー名 | PRGR(プロギア) |
商品名 | R-35WEDGE |
ロフト角 | 35° |
ライ角 | 71° |
長さ(インチ) | 34インチ |
参考価格 | 19,800円(メーカー価格) |
7.ODYSSEY(オデッセイ) X-ACT(エグザクト) チッパー
滑りやすいワイドソール設計でバンカーからでも使用可能
オデッセイのX-ACTチッパーは、長さやヘッド形状はパターに近く、パンティングをイメージできる操作性は、グリーン周りからの難しい場面でもストレスなく扱いやすい特徴があります。アドレスでフェース面が見えるロフト角37度と、芝の上を滑りやすいようにワイドソールの中心部に膨らみを持たせた形状に、安心感が得られるはずです。マレット型パターに酷似したチッパーの長さは34.5インチ、ほかに女性用33.5インチもあるので、体形や構え方に合うものを選ぶことをおすすめします。
X-ACTチッパーの口コミ
X-ACTチッパーの仕様・製品情報
メーカー名 | ODYSSEY(オデッセイ) |
商品名 | X-ACTチッパー |
ロフト角 | 37° |
ライ角 | 70° |
長さ(インチ) | 33.5インチ |
参考価格 | 19,800円 |
8. PING(ピン) ChipR(チッパー)
伝統を受け継ぐ打感の良さが魅力
ピンのチッパーは、PING創業者カースティン・ソルハイムが、ピンチエンド・ランに特化したランニングアプローチ用クラブとして開発したのが最初といわれています。発祥のメーカーが造る最新モデルは、デリケートなグリーン周りからのアプローチショットを、パッティングスタイルでストロークできるように設計、慣性モーメントを増大して打感も向上させることに成功しました。1970年からもっとも寄せワン率が高く、アイアンにしか見えない外観を備えたアイアンタイプのチッパーです。
ChipRの口コミ
ChipRの仕様・製品情報
メーカー名 | PING(ピン) |
商品名 | ChipR |
ロフト角 | 38.5° |
ライ角 | 70° |
長さ(インチ) | 34インチ |
参考価格 | 30,800円(メーカー価格) |
9.Merchants of Golf TOUR チッパー
ミスショットを防げるグースネックタイプのチッパー
TOUR チッパーは、ピッチエンド・ランでカップを狙えるチッパーです。8番アイアンに相当するロフト角40度のチッパーは、ターゲットに向けてパターを打つようにストロークするだけで、キャリー1対ラン3の比率でカップに向けて転がるように造られています。アドレスでヘッドをセットすると、フェース面がシャフト軸よりも後方にあるように見えるグースネックタイプなので、ミスショットなくしっかりボールをとらえることができるので、ゴルフのスキルを問わず頼りになるクラブといえるでしょう。
TOUR チッパーの口コミ
TOUR チッパーの仕様・製品情報
メーカー名 | Merchants of Golf |
商品名 | X-ACTチッパー |
ロフト角 | 40° |
ライ角 | – |
長さ(インチ) | 35インチ |
参考価格 | 39.99ドル(メーカー価格:5,058円/149円換算) |
10. FILA FL-MCP-SJ マレット型チッパー
チップインを狙えるマレット型チッパー
フィラFL-MCP-SJは、マレットタイプのパターヘッドをイメージした、幅の広いソールが特徴的なマレット型チッパーです。一般的なマレットタイプのパターとライ角や重量設計を同様にしたことで、パターと同じ感覚でストロークができます。緊張しがちなアプローチの場面でも、気負うことなくピンそばを狙っていくことができるはずです。ランニングアプローチに適した37度のロフト角を活かすことで、チップインを狙っていけるチッパーといえるでしょう。
FILA FL-MCP-SJの口コミ
FILA FL-MCP-SJの仕様・製品情報
メーカー名 | FILA(フィラ) |
商品名 | FL-MCP-SJ |
ロフト角 | 37° |
ライ角 | 71° |
長さ(インチ) | 34インチ |
参考価格 | 13,200円(メーカー価格) |
まとめ
プレッシャーがかかるグリーン周りのアプローチは、スコアメイクの上でも重要な1打となります。チッパーを使うことで距離や方向が安定し、ミスショットを心配することなくグリーンオンが狙えます。アプローチの精度が上がるだけではなく、ラインに乗ればチップインの可能性も高くなりスコアアップが期待できます。チッパーの操作はウェッジに比べると簡単ですが、それでもキャリーとランの距離感を把握できるまでには多少時間が必要です。さらに確実性を増すためには、今回紹介した選び方やチッパー10選を参考に自分に合った最強のチッパーを見つけてください。