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毎年、多くのモデルが発売されているシャフト。グラファイトデザイン、フジクラ、三菱ケミカル、日本シャフトなど多くのシャフトメーカーから個性あるシャフトが続々登場しています。また、スリーブ式の普及によりレンチでカチャカチャとシャフト交換が気軽にできるようになりました。いろいろ試して自分にピッタリのシャフトを使いたいものです。でも、多くの種類のシャフトの中から、どのように自分合ったものを選べばいいのでしょうか。今回は、シャフトを選ぶ上で必要な知識、ゴルファーのレベルに合わせたシャフトの選び方などをわかりやすく説明していきます。
純正シャフトとカスタムシャフトって?
純正シャフトとは、そのクラブヘッドだけのために設計され標準装着されているシャフトのことです。カスタムシャフトはゴルファーの特性に合わせて付け替えられるようにシャフト単体で販売されているものになります。純正シャフトは万人向けに無難に設計されているものが多く、比較的やさしさを求めたスペックになっています。細部まで自分にぴったり合ったシャフトが欲しい場合はカスタムシャフトを選択するとよいでしょう。最近はカスタムシャフトが初めから装着されているモデルもあり、これを「カスタムシャフトモデル」と言います。
スイングに悩んだらシャフトを変えてみよう
スイングに悩んだ時に是非検討してもらいたいのがシャフトを交換してみることです。現在では多種多様なシャフトが発売されており、自分のスイングに合ったシャフトに出会えれば、スライスやフック、飛距離などの悩みも解決できるかもしれません。自分に合ったシャフトとは、自分のスイングタイプに合致して、スイング中に加えた力を余すことなくボールに伝えることができるシャフトです。シャフトを交換しただけで飛距離が10ヤード以上アップした、といった話もよく聞きます。ゴルフスイングで悩んだ時はぜひシャフトの交換を検討してみてください。
【基本】カスタムシャフトの選び方
シャフトを選ぶ時にはどんなことに注意すればいいのでしょうか。ここではシャフトを選ぶ際に基準となるポイントを解説します。
カーボンとスチールの違いって?
シャフトは大きくカーボンシャフトとスチールシャフトの2つに分類されます。カーボンシャフトは樹脂、炭素繊維などで作られており、より飛距離を求めることが重要なドライバーなどに採用されています。飛距離よりも正確性を重視するアイアンでは重く安定感のあるスチールシャフトが使用されることが多くなっています。最近ではアイアンでもバリエーションが豊富なカーボンシャフトを採用するケースも増えていますが、カーボンシャフトはスチールシャフトより価格が高くなる傾向があります。
シャフト重量はヘッドスピードを基準に選ぶ
シャフトが重すぎるとスイングで振り切ることができなくなります。かと言って軽すぎるとスイングが不安定になってしまいますので、自分の体力に合った重さのシャフトを選ぶことが大切です。一般的には、振り切れる範囲でなるべく重いシャフト選ぶのがよいとされてます。ドライバーの場合は50g台のシャフトが多く、やや重いものが60g台で、力のある人向けに70g台ぐらいまでのものが一般に販売されています。ヘッドスピードが42m/s前後のアベレージゴルファーではドライバーのシャフト重量が50gでクラブ総重量300g程度が目安になります。
- ヘッドスピードとシャフト重量の目安
42m/s程度…50g台
45m/s程度…60g台
48m/s程度…70g台
柔らかいシャフトは女性向き、腕力のある人は硬めを選ぶ
シャフトの硬さ(フレックス)は柔らかい順にL、A、R、SR、S、Xという表記になっています。L(レディース)、A(アベレージ)は女性用の設定です。一般的な男性はR(レギュラー)、やや力のある男性はS(スティッフ)が合うと言われています。柔らかいシャフトはたわみが大きく飛距離が出る傾向がありますが、力が強すぎると曲がりが大きくなり安定しません。フレックスについてはメーカーやモデルによって表記基準に差がありますので、選ぶ時は実際に試打することをお勧めします。
しなりはボールの上がりやすさで選ぶ
シャフトはそのしなり方によって先調子、手元調子、中調子の大きく3つに分けられます。先調子は先端が柔らかいタイプで、インパクトでヘッドが走るのでボールが上がりやすくなりますが、安定性には欠けます。手元調子は先端が硬く安定性がありますが、ボールは上がりにくいので上級者向けと言われます。中調子は中間的特性を持つシャフトです。中調子に近いものとして、中間部分を固くしてトップで手元がしなり、インパクトで先端が走るように作られたダブルキックというシャフトもあります。
- 先調子…先端が柔らかく、ボールが上がりやすいが安定性に欠ける
手元調子…先端が硬く安定性があるが、ボールが上がりにくい
中調子…中間的特性をもつ
ねじれ(トルク)が大きいほどミスに寛容
トルクとはシャフトのねじれを数値化したものです。この数値が大きいほどねじれが大きいシャフトになります。トルクが小さいシャフトは敏感に反応するのでコントロール性が高くなりますが、ミスの許容範囲は小さく、ミスしやすいシャフトになります。また同じシャフトの硬さでもトルクが小さいとより硬く感じます。ドライバーのシャフトではトルクは3.5を基準として、3.5より大きいものはねじれの大きなシャフトとイメージしてください。また、スチールシャフトのトルクは一般的に2.0以下でカーボンシャフトより小さい値になります。
プレータイプに合わせた選び方
ゴルファーのタイプによって、シャフトを選びはどのように変わってくるのでしょうか。ここではゴルファーのレベル別、スイングタイプによるシャフト選びのポイントを解説します。
初心者や女性ゴルファーのシャフトの選び方
年齢や体力によって差はありますが、初心者にとって硬くて重いシャフトは扱いづらいので、フレックスは柔らかめで重さは50g以下の軽いものを選ぶのがよいでしょう。また、先調子のシャフトはボールが上がりやすいので初心者向き。初心者はボールが上がりやすい方が楽しくラウンドできますからね。
女性向けのシャフトとしては軽く柔らかいフレックスのLやA、トルクも7.0程度と大きなものが主流です。ただ、ある程度スイングがしっかりしている方なら、RやSRのフレックスで重さのあるシャフトも検討してみてください。
中級者、上級者のシャフトの選び方
中級者以上のゴルファーなら、重さ、フレックス、キックポイント、トルクなどを総合的に判断して自分にピッタリのカスタムシャフトを見つけたいものです。自分のスイングタイプをしっかり分析してピッタリのシャフトを探しましょう。カタログのフレックス値やキックポイントの表記はメーカーによって基準が違っていて実感と違う場合も多いので、実際に試打をして選ぶようにしましょう。また、自分のスイングタイプを客観的に理解するためにも、クラブフィッティングなどでチェックしてもらうのも最高のシャフトに出会う近道です。
シャフトによる飛距離と安定感について
一般的に先調子でトルクの大きなシャフトは飛距離がでやすいが、安定感に欠けると言われています。逆に、手元調子でトルクの小さなシャフトは安定感がありますが、ボールが上がらず飛距離は伸びにくい傾向があります。自分のヘッドスピードに対して重く硬すぎるシャフトを使うとクラブの性能が発揮されず飛距離をロスします。また、軽く柔らかすぎるとクラブに余計な動きをさせてしまって安定しません。自分のヘッドスピードやスイングタイプ、プレータイプに合わせて、飛距離と安定感の理想のバランスを実現するシャフトを手に入れましょう。
2020年ゴルフシャフトの人気メーカー6選
ゴルフシャフトの人気メーカー6選を紹介します。
グラファイトデザイン
長年に渡り、国内男子ツアーで高い使用率を誇る日本のメーカーです。日本が誇る高品質な素材と技術の融合により作られる「TOUR ADシリーズ」は、ツアープロからのフィードバックを元にアマチュアゴルファーにとっても武器になるシャフトです。石川遼プロも愛用している素直な中調子の「TOUR AD PT」や、シャフト全体のしなりを重視した「TOUR AD DI」などが人気です。その他にもゴルファーのタイプに合わせて様々なシリーズがあります。
三菱ケミカル
最適な材料開発から、成形までを一貫して生産管理することのできる世界唯一のシャフトメーカー。「Diamana」は世界のトッププロも多く使用していることでも有名です。中調子で幅広いゴルファーにマッチする青マナこと「BFシリーズ」、先調子でインパクト時のスピード感に優れた赤マナこと「RFシリーズ」、スムーズな振り抜きと安定性を両立する白マナこと「DFシリーズ」、第4世代Diamanaとして注目されている「ZFシリーズ」など充実のラインナップです。
日本シャフト
「N.S.PRO」でお馴染みのアイアン用のスチールシャフトが有名なシャフトメーカー。スチールシャフトにおいては「MODUS」や「Zelos」など様々な種類を展開しています。カーボンシャフトでは飛距離とコントロール性を兼ねそろえた「Regio formulaシリーズ」を展開。特に、アイアンで「N.S.PRO MODUSシリーズ」を使用しているゴルファーには、アイアンからの流れで同じフィーリングで打てる設計になっています。
フジクラ
「一人ひとりのプレイヤーに、ベストフィットのシャフトを。」というコンセプトの元に、すべてのゴルファーに向けて多種多彩なシャフトを揃えています。フジクラと言えば「Speeder」。カスタムシャフトブームの先駆けとして有名なシリーズです。ハジキ系のシャフトとして「Speeder EVOLUTIONシリーズ」や金属管複合MCT技術を採用して短尺化した「Speeder SLK」など様々なラインナップが用意されています。その他、高級感のある「ジュエルライン」、トッププロの要望に応える元調子系シャフト「VENTUS」など豊富なラインアップからあなたにピッタリのシャフトが見つかるはずです。
USTマミヤ
何と言っても「ATTAS」シリーズが有名なメーカー。手元部から中間部の剛性をややマイルドにすることで飛距離を求めて叩けるシャフト「ATTAS PUNCH」、手元部剛性と中央・先端部の剛性差が鋭いしなり戻りを実現した「ATTAS COOL」、中間部のねじれ剛性を高め高弾道を実現した「ATTAS 11(ジャック)」などはっきりした個性あるシャフトのラインナップが揃います。そのネーミングやカラーリングにも個性が光るシャフトメーカーです。
スリリング
大手メーカーでシャフト設計に携わってきた3人が独立して設立した新興シャフトメーカー。
「AOSAKI」「Kazetomo」「HARUKANA」というブランド展開をしています。「AOSAKI」は青空の先へ、という意味が込められています。一度見ると忘れられない個性的な美しいデザインが特徴です。インパクト時にヘッドが走り、つかまりと振り抜きの良さがあるシャフトです。レスポンスの良さと直進性を重視した「Kazetomo」は風と共にという意味です。こちらもラウンドが楽しくなる美しいデザインが特徴的です。
カスタムシャフト選びのまとめ
カスタムシャフト選びの重要ステップは3つです。
・シャフトの特性(重さ、フレックス、キックポイント、トルク)を理解する
・自分のスイングタイプを知る
・実際に試打して確認
シャフトには、様々な個性があるため、自分に合ったものを選ぶことが何より重要です。シャフトを替えるだけで、球筋や飛距離などが大きく変わるので、あなたのゴルフスタイルも一変するかもしれません。数多くのシャフトの中から自分に合ったものに巡り合うのは簡単ではありませんが、悩みながらあれこれ研究することや、試してみるのもゴルフの楽しみの一つですよね。自分にピッタリのシャフトを見つけて、さらに楽しいゴルフライフをお過ごしください。