夏になるとゴルファーを悩ませるラフ。もちろん夏以外にもラフはありますが、一番ラフがきつくなるのが夏です。夏のラフではボールが沈むこともあれば、ラフの上にボールが浮くこともあります。一言でラフと言っても状況は様々。夏のゴルフではラフを攻略することがスコアを良くするポイントです。今回はティーチングプロの筆者が夏のラフでのアプローチの攻略方法を解説します。
夏ラフは難しい!ラフの状況はどう判断する?
深いラフにボールがあるけれど、どうやって打てば良いのだろう?ラフは飛ばなくなるから番手を上げないといけないはず。こう考えるアマチュアは多いはずです。その考えは分からなくもないですがそれだと逆に飛ばずにスコアを崩すこともあります。夏は芝が最も速く成長する季節。芝が伸びてしかも強くなります。ドライバーでフェアウェイに落ちるとランが出て飛距離が出ますが、ラフに落ちるとランが出ずに飛距離は大幅に落ちます。山岳コースでは冬であれば傾斜に当たったボールは下の平らな場所まで落ちてきますが夏はラフが深くなるので傾斜で止まることの方が多くなります。ラフの影響はティーショットだけではありません。むしろセカンドショットやアプローチの方が影響がでるでしょう。ボールが浮いているのか沈んでいるのか、芝の密集度や順目逆目などを考慮して打つ必要があります。
ラフの状況はどう判断する?
ラフの状況を大きく4つに分けて整理してみたいと思います。
- ボールがラフに浮いている
- ボールがラフに沈んでいる
- 順目のラフ
- 逆目のラフ
もちろんボールがラフに沈んでいても順目なのか逆目なのかによっても打ち方やボールの飛び方は大きく変わってきます。ラフに入って素振りもせずに打つのはスコアを崩す原因です。ラフに入ったら必ずボールが動かない場所で素振りをしてどれくらいの抵抗があるのか確認してください。それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。
1.ボールが浮いているとき
ラフにボールが浮いている時はボールの下にクラブヘッドが入る隙間があります。このため打ち込むと打点が上下にブレやすい特徴があります。簡単そうに見えていてもフェアウェイと同じように考えていると上手く打てません。ボールが浮いている時は、ボールの下を潜るダルマ落としになりがちなので気をつけましょう。特にフェースが薄いフェアウェイウッドでよく起こります。コックが早くタメが強い人はダルマ落としになりやすいので注意が必要です。
ラフにボールが浮いている時は緩やかな軌道で打つことが上手く打つコツです。アドレスで前傾を浅くしてクラブヘッドをボールの高さに合わせて構えます。手で上げずに体の回転で上げるようにすれば入射角が緩やかになりラフにボールが浮いていてもナイスショットできます。
2.ボールが埋まっているとき
ラフにボールが埋まっている時は基本的に飛びません。余程ラフが薄く順目になっていなければ飛距離が落ちると思って下さい。深いラフの場合は芝の抵抗もあります。普段と同じように振ったつもりでもラフがヘッドに絡まりヘッドが返らなかったり、逆にヘッドが返りすぎたりもします。ボールがラフに埋まっている場合はこのようにフェースがブレないようにグリップは強めに握ります。
そして、最も気をつけたいことはクラブ選択です。そのラフからどれくらいまでのクラブを使えるか冷静に判断しましょう。いくら飛ばないからと言ってクラブの番手を1番手、2番手上げるのは逆効果です。これは90を切れないゴルファーがよくやる誤ちです。ラフに入ったらまずは高さを出してラフから脱出することが先決です。大きいクラブはロフトが立っているので高さが出せません。これだと、多くの数の芝の抵抗を受けながら飛ぶため飛距離が落ちるのです。クラブ選択の目安はボール3分の1隠れていればフェアウェイウッドが使えるギリギリ、ボール半分隠れていれば7番アイアンまでボールがすっぽり隠れていればウェッジまでと覚えておきましょう。
3.順目のラフ
順目のラフとは打つ方向に芝が倒れている状況です。比較的クラブの抜けが良く芝の抵抗は少ないのが特徴。気を付けなければいけないのがフライヤーです。フライヤーとはスピン量が少なく思ったよりも飛んでしまうボールです。順目のラフではボールが浮いていることが多く、ヘッドスピードがある人が打つとクラブヘッドとボールの間に芝が挟み、なおかつ抜けが良い場合フライヤーとなりグリーンをオーバーする危険性があります。これはショートアイアンで良く起こる現象なのでヘッドスピードが速い人はボールのライによってはフライヤーを計算して打つ必要があります。
4.逆目のラフ
逆目のラフとは打つ方向とは逆に芝が倒れている状況です。芝の抵抗が大きくなりクラブヘッドが芝に刺さるように抜けないことも多くあります。順目のラフではフライヤーがありますが、逆目のラフからフライヤーになることはありません。芝の抵抗が増すため必ず飛距離は落ちるのです。逆目のラフでは芝がクラブヘッドに絡まりクラブが急激に返ることがあります。スイング中グリップは強く握りフェースを閉じないことが大切です。逆目のラフからは脱出することを最優先として次に狙いやすい場所を決めてから打つことがスコアをまとめるコツとなります。
ラフからのアプローチ
ラフからのアプローチの特徴や打ち方も紹介しておきましょう。アプローチもショットと同様にどのようなラフかによって打ち方を変える必要があります。これはラフに限った話ではありませんがまずはボールのライを確認してどのような球が打てるのか判断することが大切です。
1.ボールがラフに浮いているアプローチ
ボールがラフに浮いている場合は色々な選択肢ができます。チップショット、ピッチショット、ロブショット基本的にどのようなアプローチでも打てるのがボールがラフに浮いている場合です。浮いているのに加えて順目であればスピンで止めるアプローチも打ちやすくなります。ショットと同様にクラブヘッドがボールの下を潜るだるま落としになりやすいので注意が必要です。どのようなアプローチでも打てるため何となく打つと距離感が合わずに失敗します。必ず打ちたい球を決めて打つ前に素振りをしてどれくらいの抵抗感があるか確認してから打ちましょう。
2.ボールがラフに沈んでいるアプローチ
ボールがラフに沈んでいる場合上げるアプローチを選択するのが無難です。芝の密度や強さによっては順目であれば転がすことも可能かもしれませんが、基本的には上げることを考えましょう。ボールが沈んでいる場合クラブヘッドとボールの間に芝が挟まるため、通常のアプローチよりも飛ばなくなります。それに加えてヘッドが絡まりフェースがズレる可能性があります。
クラブ選択はサンドウェッジがおすすめです。普段アプローチウェッジやピッチングウェッジでしかアプローチをしないのであれば普段のクラブでも構いませんが、サンドウェッジの方がロフトが開いているので沈んだラフから寄せるのに最適です。何故サンドウェッジをおすすめするのかと言うとロフトの開いているクラブの方が飛ばないので、同じ距離を打つのであればその分速く振ることができます。沈んだラフで打つ時にはクラブを遅く振ると芝の抵抗が強くなり、速く振ると芝の抵抗を少なくすることができるからです。それに加えてロフトの開いたクラブの方が球を高く上げることができ、球の重さで止めることができます。深いラフからのアプローチではスピンのかかり方が極端に少なくなります。ピンまでの距離にもよりますが、球を止めるには球の高さが必要なのでサンドウェッジをおすすめしています。サンドウェッジよりもロブウェッジの方がロフトが開いていますが、一般的なクラブセッティングで一番ロフトが開いているのがサンドウェッジのためロブウェッジは省いています。
3.順目のラフからのアプローチ
順目からは抜けがよく更にラフに浮いていれば飛距離が出やすいため注意が必要です。素振りをしっかり行い、どれくらいの抵抗感があるか確認してから打つことである程度距離感が合うと思います。
4.逆目のラフからのアプローチ
逆目のアプローチではクラブヘッドの抜けが極端に悪くなります。そのためボールがラフに浮いていない限り直接クラブヘッドをボールに当てなければいけません。アドレスでボールをやや右に置きフェースを開いて構えます。体重は左足に多めにかけてそのまま鋭角的に打ち込みます。フェースが開いた分だけ球は上がりますので無理に上げる動作をしないようにすることが逆目のラフから打つコツです。
夏ラフを乗り切りドリル
ラフから打つドリルを2つ紹介します。1つはティーアップしたボールを打つ方法。これは浮いているラフから払い打つ感覚を覚えるドリルです。
やり方は簡単。ティーアップしたボールを打つだけです。ポイントはアドレスでクラブヘッドをボールの高さに合わせることと、打ち込まないことです。
もう一つはボールの手前3センチの所にティーをおいて打つ練習です。ティーの位置がボールに近いほど鋭角的なクラブ軌道となります。これは深いラフに入った時に直接ボールに当てるためのダウンブローを身につけるドリルです。
まとめ
今回は夏ラフ攻略の為のコツをお伝えしました。夏のゴルフはラフとの戦いと言っても過言ではありません。毎回フェアウェイに行けばスコアは良くなりますが、ラフに入らないなんてことはありません。ラフに入ったらどのくらいの番手まで持てるのか判断することが大切です。しっかりと素振りをしてラフの抵抗がどれくらいなのか感じることも重要です。夏のラフでは欲張るとスコアを崩す原因となりますので、無理をせずに脱出するのが良い選択となるでしょう。