世界的ゴルフメーカーのテーラーメイド社が、開発に20年かけたという「ステルスドライバー」の発売が開始されました。タイガー・ウッズやダスティン・ジョンソンなど一流プロが使用を開始し、発売1週間での売り上げはここ10年で1番とも言われる、2022年大注目のドライバーです。ステルスドライバーの特徴や4種類の性能の違い、さらには実際に使用したゴルファーの評価なども含めて紹介します。
ステルスドライバーとは
テーラーメイド社から構想から製品化まで20年の歳月をかけたという「ステルスドライバー」が2022年2月4日に発売されました。開発時から社内秘として「ステルス(隠密)」のコードネームを使用していたことからネーミングとして採用されています。カーボン素材は軽量であり強度もあることからシャフトでは多用されていますが、ウッドの素材としてはドライバーらしからぬ打音によって、これまでは多くのゴルファーの支持を得ることはできていませんでした。テーラーメイド社はこれからはカーボンフェースのドライバー開発を主力とする考えを明らかにしており、新たなカーボンウッド時代の幕開けとなるか注目されています。
カーボンフェースは何がすごい?ステルスドライバー4つの特徴
これまでもテーラーメイドでは国内限定の「グローレ」シリーズでカーボンフェースを採用したことがありましたが、チタンヘッドの金属音と比較してやわらかい打音や打感のカーボンヘッドに馴染むことはありませんでした。カーボンフェースを採用したことで、大きく軽量化することに成功したステルスドライバーの特徴について解説します。
特徴1 60層のカーボンフェースで飛距離アップ
テーラーメイド最新シリーズのステルスドライバーの最大の特徴は「60X カーボンツイストフェース」です。60層で造られたカーボンフェースによりインパクトの衝撃に耐えられるよう強度が向上しています。さらにカーボン素材を採用したことで軽量化が進み、重量は43gから24gへと従来より44%の軽量化に成功しています。また、従前のチタンヘッドよりフェース面は約20%広くなったことで、ボールを弾き飛ばすスプリング効果が得られ、飛距離アップと安定したショットが望めます。
特徴2 低重心&深重心ヘッドで安定の直進性
ステルスドライバーは最新のカーボンフェースに加えて、ヘッド上部にも同様のカーボン素材を採用したカーボンクラウンによって軽量化に成功しています。フェースとクラウンで削減された重量をヘッド後方に移動し、より低重心で深重心のドライバーとなっています。これにより振りやすさを実感できる高い慣性モーメントが得られ、スライスやフックなどのミスショットを防ぎながら、まっすぐ飛ばせるドライバーとなっています。
特徴3 空力特性と慣性モーメントの融合
前作のSIMシリーズにも採用され好評だった「イナーシャジェネレーター」は、最新作にも採用されています。ダウンスイングによる慣性の影響でヘッドに遅れが生じないようヘッドの後方に重いウェイトを設置し、ヘッド表面に沿って流れる空気を効率的に利用するウェイトの膨らみを利用します。イナーシャによって高い慣性モーメントが得られることで直進性が増し、ジェネレーターによって空気抵抗が削減できヘッドスピードは上がり、飛距離アップが期待できます。
特徴4 心地よい打音で打感の良さを実感
これまでのチタンフェースの打音と打感に近づけるため、研究チームはコーティング素材であるナノレベルのPU(ポリマーコーティング)を使用した「ナノテクスチャーPUカバー」を開発しました。またナノテクスチャーPUカバーは打音=打感の良さだけではなく、どのような条件でも最適なスピン性能と打ち出しが可能となるよう設計されています。
ステルスドライバー4モデルのスペック
ステルスドライバー
最新のカーボンウッドで新たな飛びを実感
4種類あるカーボンドライバーのなか、スタンダードモデルといえるのがステルスドライバーです。ステルスシリーズに共通しているのは、シンプルな黒と赤のヘッドデザインで、前作SIMシリーズに比べて構えた時に小ぶりな印象になっています。カーボン素材で軽量化されたヘッドの余剰重量を後方に付け替えることで、「軽いフェースを重いヘッド部分が後ろから押すため、接触時間が長くなり初速が出る」と説明されています。ステルスドライバーは「SIM2 MAXドライバー」の後継に位置付けられており、幅広いレベルのゴルファーにおすすめできるモデルと言えるでしょう。
ステルスドライバーの仕様・製品情報
ヘッド素材 | チタン(9-1-1 ti)+カーボンクラウン/60層カーボンツイストフェース |
ヘッド体積 | 460 |
ライ角(°) | 56 |
シャフト | TENDEI RED TM50(’22)/45.75インチ
Tour AD UB-6/45.25インチ SPEEDER NX60/45.25インチ Diamana PD60/45.25インチ |
メーカー希望小売価格 | 86,900円~106,700円(税込) |
ステルスプラスドライバー
セレクトフィットストア限定販売の中上級者向けモデル
ステルスプラスドライバーは、スタンダードモデル同様のヘッド&シャフトにプラスして、ヘッドのトゥからヒールまでスライド調整できる10グラムのウェイトを搭載しています。スライスが気になるゴルファーはウェイトをヒール(根元側)に、フックが気になるゴルファーはトゥ(先端側)にウェイトを調整することでイメージしたボールコントロールができます。ステルスプラスドライバーはセレクトフィットストアでの限定販売なので、お近くの店舗で相談してみましょう。
ステルスプラスドライバーの仕様・製品情報
ヘッド素材 | チタン(9-1-1 ti)+カーボンクラウン/60層カーボンツイストフェース |
ヘッド体積 | 460 |
ライ角(°) | 56 |
シャフト | TENDEI RED TM50(’22)/45.75インチ
Tour AD UB-6/45.25インチ SPEEDER NX60/45.25インチ Diamana PD60/45.25インチ |
メーカー希望小売価格 | 90,200円~110,000円(税込) |
ステルス HD ドライバー
飛距離アップに特化したドロー系ヘッド
ステルス HD ドライバーのHDはハイドロー(High Draw)を略した名称で、高弾道のフック系の球筋で飛距離を狙うことができるという意味があります。ヘッド構造はスタンダードモデルと同様ですが、今よりも確実に飛距離を伸ばしたいゴルファーに向けてヒール側に別箇ウェイトを装着した、インパクト時のつかまりの良さを最優先したカーボンドライバーです。飛距離に伸び悩んでいるアベレージゴルファーにはこちらのモデルがおすすめです。
ステルス HD ドライバーの仕様・製品情報
ヘッド素材 | チタン(9-1-1 ti)+カーボンクラウン/60層カーボンツイストフェース |
ヘッド体積 | 460 |
ライ角(°) | 56 |
シャフト | TENDEI RED TM50(’22)/45.75インチ |
メーカー希望小売価格 | 86,900円(税込) |
ステルスウィメンズドライバー
女性ゴルファーに向けた飛距離重視のドライバー
ステルスウィメンズドライバーは、ステルスHDドライバーをベースに女性ゴルファーのために専用設計されたカーボンドライバーです。2種類用意されているシャフトによって、ヘッドが走る振り抜きの良さが感じられるフレックスLと、ヘッドに若干の重さを感じながらしっかりミートできるフレックスAが用意されています。
ステルスウィメンズドライバーの仕様・製品情報
ヘッド素材 | チタン(9-1-1 ti)+カーボンクラウン/60層カーボンツイストフェース |
ヘッド体積 | 460 |
ライ角(°) | 56 |
シャフト | TENDEI RED TM40(’22)(L)/43.75インチ
TENDEI RED TM40(’22)(A)/44インチ |
メーカー希望小売価格 | 86,900円(消費税込) |
ステルスドライバーの評判は?
ステルスドライバーがカーボン主体のドライバーであることを感じさせない打音、つまり「打感の良さ」に驚きの評価があるようです。またヘッド上部のクラウン部分に軽量のカーボンを組み入れたことによる低重心ヘッドで「ボールがつかまりやすい」、スライスやフックに悩むゴルファーにとってはステルスドライバーの特徴である「直進性」にも高い評価を寄せているようです。
まとめ
ウッド、メタル、チタンと進化してきたドライバーヘッドに、新たなカーボンヘッド時代の道を拓くテーラーメイドの先駆的な挑戦がスタートしました。まずは名だたるトッププロによる試合結果に注目が集まることでしょう。話題性抜群のステルスドライバーは発売実績も好調なことから、今後のゴルフ界ではさらなる軽量化と金属音に近い打音のカーボンドライバー開発が進んでいくかもしれませんね。ぜひこちらの記事を参考に、話題のステルスドライバーを試してみてはいかがでしょうか。